研究課題/領域番号 |
20K03348
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
宮本 淳 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (40340301)
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研究分担者 |
仙石 昌也 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (40257689)
久留 友紀子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00465543)
橋本 貴宏 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (60291499)
山森 孝彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70387819)
山下 敏史 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90622671)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 協働学習 / 心理的成果 / クラウド |
研究実績の概要 |
協働学習の実践が進む一方で、その学習評価や教育効果の測定法が課題となっている。 医学部初年次チュートリアル教育において2~3名のグループで協働してクラウドを用いて作成するレポート課題を課し、協働ライティングプロセスの調査を続けている。本研究の目的は、協働学習によって獲得される心理的成果を測定する尺度を作成すること、及び、クラウドの編集履歴にアプローチすることによって得られる協働作業の指標と心理的成果との関係性を検討することである。2020年度の研究では、協働学習の実証的研究及び心理的効果に関する尺度について文献レビューを行なった。その過程で「協同作業認識尺度」(長濱ら2010)によって測定される認識の変化が、協働学習がもたらす心理・態度面における効果の主要な指標として多数の研究報告で用いられていることに着目した。協働学習に対する認識の変化は重要な観点であるが、この尺度では認知的な側面を中心に測定しているようである。認知的側面だけでなく、認識には感情的側面、行動的側面、個々が持つイメージなどが含まれ、これらの方が個人差が大きいのではないかと考えた。そこで、2021年度に実施する質問紙調査の原案として、認知的側面だけでなく、感情的側面、行動的側面に関する質問項目を加えた「協働学習に対する態度」を測定する尺度を作成した。初年次学生の協働学習に対するイメージについては、「協働学習」を刺激語とした文章完成法質問により調査し、テキストマイニング分析を行う。この調査は質問紙と合わせて実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度の計画では協働学習の心理的成果を測定する質問項目の検討を予定していた。先行研究のレビューから、協働学習に対する態度を測定する尺度を作成し、文章完成法質問と合わせて2021年度に調査を実施する準備ができた。しかし、協働学習に対する態度についても、心理的成果の一側面を測定するものであって、研究課題の核心をなす「協働学習によって獲得される心理的成果を充分に測定するために重要な観点は何か」という学術的問いに充分アプローチできているとは言い難い。調査研究と並行して文献検討を続け、尺度の構成及び理論的基盤を確かなものにしていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
まず、協働学習に対する態度について調査を行い、質問紙尺度については因子構造及び信頼性と妥当性を検討し、文章完成法質問で得られたデータについては質的分析を行う。分析結果によって変更する可能性はあるが、協働学習の前後による変化について分析予定である。 尺度の検討・作成と並行して、協働学習のプロセス指標の定量化は継続しており、2020年度の教育実践より、クラウドによる協働レポートの作成は遠隔でも可能であった。協働学習に対する態度と編集履歴から得られる協働ライティングへの関与状況との関係についても分析を予定している。文献検討と2021年度の研究結果から、心理的成果を測定する尺度を改めて作成し、最終年度に調査を実施したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:次年度使用額が生じた理由としては、購入予定であった学生が有する作業環境と同じPC・タブレットなどの購入額が当初の予定よりも少なく収まったためである。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大のため学会の現地開催が中止となり出張旅費が抑えられたためである。 使用計画:第5世代移動通信システムに対応する機種も増えてきたためクラウドの動作環境確認も含めて、必要に応じたPC・タブレットなどの購入、及びデータ分析を行う環境を向上させるために必要な物品の費用に充てる予定である。現地開催が再開されれば学会発表の旅費も予定している。
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