本研究の目的は、仲間との関係調整の発達を交代制ルールの産出を中心に検討することである。最終年度の4年度は、小学4年、6年、中学2年生を対象に、交代制ルールの意識の発達を明らかにし、遊びの嗜好性と関連を検討した。分析の結果、交代制ルールの意識に学年差や性差が見られず、小学4年生から中学生と同等の交代制ルールの意識を持っていることが示された。また、交代制ルールの意識はルール遊びの嗜好性と有意な相関があることが示された。さらに大学生20名を対象に、親しい二人組で紙コップ積み立て課題を行ってもらう実験を行った。分析の結果、紙コップ積み立て課題の速度が速いペアは、遅いペアよりも交代制ルールの意識が高いことが示され、関係調整に交代制ルールの意識が重要であることが示された。 研究期間全体を通じて、協同行動における関係調整には、視線や身振り等の非言語的コミュニケーションが重要であり、4歳から5歳にかけて発達すること、男児より女児の方が関係調整を早く発達させることが示された。この時、交代制ルールを使用するペアの方が非言語的コミュニケーションも多く、視線や身振り等で相手を意識し行動をモニターしながら交代制ルールを足場に関係調整していく発達が示された点が成果である。また、小学4年生では中学生と同等の交代制ルールの意識を持っていることが明らかになった点も成果である。 大学生の協同行動の実験では、関係調整に交代制ルールの意識が重要であることが示され、交代制ルールの発達に注目する意義が見いだされた。また大学生では交代制ルールの意識はごっこ遊びの嗜好性と関連が見られ、小中学生ではルール遊びの嗜好性との関連が見られた。遊びが現在進行形の小中学生と遊びを回顧する大学生とでは遊びの意味が異なっている可能性はあるが、交代制ルール意識に子ども時代の遊び体験が関連することが見いだされた点は成果である。
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