研究課題/領域番号 |
20K03353
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研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
内田 照久 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (10280538)
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研究分担者 |
内田 千春 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (20460553)
橋本 貴充 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 准教授 (20399489)
山地 弘起 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (10220360)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大学入試センター試験 / 教育測定 / 大学受験機会 / 発達 / 外国人児童生徒 / 教育支援制度 |
研究実績の概要 |
本研究では,初等・中等教育から,高等教育までの「教育測定データの蓄積」を,「発達面・社会面で配慮が必要な児童生徒」の支援制度の設計を進めていくための基盤となるデータとして捉え直す。その上で,次の2つの課題の克服に向けた支援策の設計をめざしている。 ① 暦年少者の大学受験機会の保証 ② 外国人児童生徒の教育測定に基づく支援 上記の事例は,潜在的な能力はありつつも,成長発達や社会言語面で不利な点が,進学などへの足かせになっていることが想定される事例である。ここでは,個人の処遇に直結する「大学・高校の入試データ」を対象とし,その蓄積の活用を図る。そして,事例ごとに対象となる教育測定データを検証する。また,入試そのものの実態調査も行い,事案固有の要件をふまえた支援方策を立案することをめざすこととしている。 令和3年度は,特に①の「暦年少者の大学受験機会の保証」に関する研究を進めた。大学入試センター試験 (以下,センター試験)をどんな背景を持つ者が受験しているかを把握するために,志願者の年齢を分析した。新卒志願者について月齢ごとに区分して,人口動態調査から得られた全国学年コーホートの月齢人口に対する志願率を分析した。その結果,暦年長者である程,センター試験の志願率が高い傾向が見出された。その一方,英語や数学の試験の成績は,逆に暦年少者ほど高く,国公立大学の合格率も高いことがわかった。 そこで,「21世紀 出生児 縦断調査」の データを新たに分析した。その結果,高校進学時には,暦年少者は学力面で不利であったが,その後の高校の学習過程で 次第に学力が伸び,学力意識としても 自覚されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学入試センター試験での歴史的なデータの蓄積を,発達面・社会面で配慮が必要な児童生徒の支援制度の設計を進めるための基盤データとして積極的に活用している。これまでに,暦年少者の大学受験機会の保証に向けて,センター試験志願者の暦年齢別の構成比率の特徴を明らかにしつつある。その研究の成果は,日本教育心理学会の第63回総会発表論文集,及び,日本発達心理学会第33回大会発表論文集において,公開を進めたところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,まず暦年少者の大学受験機会の保証に関しては,これまでに学会で発表した内容を学術論文にまとめて,学会誌に投稿していく。また,学会などでシンポジウムを開催して,情報の発信に努めることとする。 なお,今般のコロナ禍で研究がやや滞りがちな,外国人児童生徒の教育測定に基づく支援についての研究については,コロナの感染状況に留意しつつ,海外国内の状況を見極めながら,調査研究を進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度はコロナ禍のため,「① 暦年少者の大学受験機会の保証」の研究成果について,学会などでの発表の機会にオンライン開催のみとなる制約があった。また,「② 外国人児童生徒の教育測定に基づく支援」については,コロナ禍による移動制限により,計画していた外国籍児童の現地調査を行うことができなかった。 令和4年度については,「① 暦年少者の大学受験機会の保証」については,大学入試センター試験のデータと,21世紀出生児縦断調査の分析に注力すると共に,研究成果の公開の積極的に行う予定である。また,「② 外国人児童生徒の教育測定に基づく支援」については,調査計画を令和4年度以降に延期して実施する予定である。
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