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2021 年度 実施状況報告書

高齢期に老年的超越は発達するか-その個人差と関連要因の解明-

研究課題

研究課題/領域番号 20K03354
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

増井 幸恵  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10415507)

研究分担者 権藤 恭之  大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40250196)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード老年的超越 / 高齢期 / 発達 / 縦断研究 / 心理的well-being
研究実績の概要

令和3年度は昨年度コロナ禍により実施できなかった平成23年、26年、29年に実施した80歳コホート調査参加者の追跡調査(今年度:90±1歳)、および平成24年、27年、30年に実施した90歳コホート調査参加者の追跡調査(今年度:99±1歳、96±1歳、93±1歳)を実施した。80歳コホートでは今回で10年間、4時点の調査となり、90歳コホートでは調査への初参加年により異なるが、3年間2時点、6年間3時点、9年間4時点でのデータが収集できた。 調査は郵送調査と会場調査の両方を併用した。郵送調査への参加は、80歳コホート354人、90歳コホートが219人であった。また、会場調査への参加は80歳コホート175人、90歳コホートが96人であった。
2019年度に収集した70歳コホートの追跡データと上記の合わせて、SONIC研究の全対象者(3346人)について4時点9~10年の縦断データが収集できたこととなる。これらのデータを用いて、前期高齢者、後期高齢者、超高齢者の9年間の老年的超越の縦断データを収集し、日本人高齢者において、老年的超越は発達するのか、どのような発達曲線を描くのかを検討した。
線形混合モデルによる経時的データの分析を行い、分析の結果、①どの年齢群においても女性は男性よりも超越の初期値(切片)が高い、②70歳群では男女とも老年的超越の発達がみられるが、80歳群では男性のみ緩やかな発達があり、女性では発達が生じなくなる。90歳群の女性では得点の緩やかな減少傾向がみられる、ことが示された。したがって、老年的超越は前期高齢期に主に発達し、男性では80歳代まで緩やかに発達が続くが、初期値が高い女性では80歳以降はその高さを維持することが推測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍による調査の延期を令和3年度にリカバーし、更に当初計画していた収集データを用いて、本研究課題の最も重要な課題である、「老年的超越は発達するのか、どのような発達曲線を描くのか」についておおよその結論を得ることができたため。

今後の研究の推進方策

今後は、残る研究課題である老年的超越の発達曲線には個人差があるか、②老年的超越の発達曲線の個人差の関連要因(①年齢、機能状態変化、経験の変化など)の問いについて、令和3年度までに収集したデータを用いて解析を行い、結論ができるよう分析を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

令和3年度は80歳コホートと90歳コホートの調査を実施したが、参加者の高齢化と収束しなった新型コロナウイルス感染症の流行のため、当初の予定よりも参加人数がかなり少ない状況となった。そのため、令和4年度においても両コホートの追跡調査を実施する他、70歳群の第5波調査を実施し、老年的超越のコホート差についても検討することとなったため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 超高齢社会における生きがいと老年的超越 生きがいのあり方の変化2021

    • 著者名/発表者名
      増井 幸恵
    • 雑誌名

      生きがい研究

      巻: 27 ページ: 42-54

  • [雑誌論文] 高齢者における社会参加、ソーシャル・キャピタル、主観的幸福感の関連2021

    • 著者名/発表者名
      崔 煌, 権藤 恭之, 増井 幸恵, 中川 威, 安元 佐織, 小野口 航, 池邉 一典, 神出 計, 樺山 舞, 石崎 達郎
    • 雑誌名

      老年社会科学

      巻: 43 ページ: 5-14

    • 査読あり
  • [学会発表] 高齢者、百寿者の幸福感や心理的 well-beingを支える老年的超越.シンポジウム「百寿者(centenarian)に訊く健康づくり ~歯科が支援できることを考える~」2021

    • 著者名/発表者名
      増井 幸恵
    • 学会等名
      日本老年歯科医学会第32回学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 高齢者のパーソナリティと健康:SONIC & NILS-LSA共同研究の展開 SONIC研究における性格と認知機能と食品摂取の検討.シンポジウム「高齢者のパーソナリティと健康:SONIC & NILS-LSA共同研究の展開」2021

    • 著者名/発表者名
      増井 幸恵
    • 学会等名
      第63回日本老年社会科学会大会
  • [学会発表] 後期高齢者・超高齢者における老年的超越がその後精神的健康に及ぼす影響の年齢差の検討 SONIC研究データを用いた縦断的検討.2021

    • 著者名/発表者名
      増井幸恵、権藤恭之、中川威、小川まどか、稲垣宏樹、吉田祐子、石岡良子、春日彩花、蔡羽淳、松本清明、菊地亜華里、程雨田、武藤拓之、小野口航、堀紀子
    • 学会等名
      日本心理学会第85回大会
  • [学会発表] 日本人高齢者における老年的超越の時間感覚の特質と喪失場面における機能.シンポジウム「老いと災害を前にした人間の時間的展望のダイナミズム」2021

    • 著者名/発表者名
      増井 幸恵
    • 学会等名
      日本発達心理学会第32回大会

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公開日: 2022-12-28  

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