研究課題/領域番号 |
20K03357
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川崎 聡大 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (00444654)
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研究分担者 |
松崎 泰 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (10806160)
森口 佑介 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80546581)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非認知能力 / 読み書き / 実行機能 |
研究実績の概要 |
昨年度より継続して非認知能力の指標として行動の維持・抑制、ワーキングメモリー課題と基礎的学習スキルならびに行動特性の関係について検討を深めた。まず初年度の課題を精選し、実行機能課題に関して5歳児の基準値作成に研究リソースを集中させた。 今回昨年度データに、保育形態の異なる2つの園で児童50名を追加して検討を加えている。基礎的学習スキルとして聴取した語彙力(PVT-Rを使用)では、園間での有意差を認め保育環境による影響の大きさが示唆されたが、行動の維持・抑制・ワーキングメモリーといったいわゆる実行機能課題に関しては、環境要因(園の保育方針)の影響は必ずしも大きいといえない結果であり、かつ個人差も大きかった。 なお、行動面に関してSDQを使用したが、SDQと実行機能課題双方でピックアップされる児童が存在する一方で、結果が乖離する児童も多く、保育者の気になる行動と実行機能関連課題の間に一定の関連性を見出すことが出来なかった。 この事は5歳児時点における向社会行動に関しては非認知能力と言語理解などのいわゆる「認知能力」が相補性を持つものであり、行動特性に関しては発達特性の要因を加味した検討が必要であることを示唆している。また、一部の基礎的学習スキルの環境間での差も鑑みれば、小学校以降の学習スキルの先取り学習が非認知的スキルとも相反するものであること、また非認知能力の涵養の観点からは言語理解への依存の高い「社会性を育む取り組み」について結果として何を育てているのか、再考が必要であることを示唆していると考えられる。 一昨年度よりのコロナ情勢によって現地調査が極めて厳しい中、新しい社会情勢への対応も求められた一念であった。今後縦断的検討が必要になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨今のコロナによる社会情勢に著しく研究遂行が阻害されている。その結果特に縦断研究の実施が困難となっていることに尽きる。ただ、その状況を逆に利用して課題の精選が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
まず横断研究として非認知能力と基礎的学習スキルの関連について検討を行う。非認知能力に関して社会情緒的スキルの指標についても行動面の課題を指し示すスクリーニング課題ではなく、別途集団に準拠した指標の検討の必要性を感じている。 併せて、本年度次年度で広く継続調査が可能な別の集団に対して縦断研究を遂行する。 特に本年度は調査に集中したために結果のアウトプット(学会発表・論文投稿)が行われていないが、昨年度の成果を基に本年度研究成果のアウトプットについて積極的に展開する
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次年度使用額が生じた理由 |
社会情勢の変化(コロナ)による調査計画の変更によるものが圧倒的に大きな理由である。
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