質問紙調査により、小中学生が協働学習に対してどのような不安や苦手意識を持っているのかを明らかにした。また、協働に対する意識と学級適応感の関連を明らかにした。このとき小・中学生には相違も見られた。小学生においては、「他者の受容」「説明」「間違え・失敗」「正解かどうか」「考えを理解してもらえるか」「嘲笑・叱責」が中学生よりも多く見られた。これらは、自分の考えを理解してもらったり、相手の考えを理解したりと、「わかる」「わからない」といった点に関わっていることから、「認知的な困難」と関連のある不安だと考えられた。さらに、小学生においては「なかまはずれ」「協力」「話し合いの進行」「いざこざ」「おしゃべり・ふざけ」が中学生よりも多く見られた。これらは、ペアやグループで問題に取り組む上での意欲や動機に関わっていることから、「動機づけに関する困難」と関連のある不安だと考えられた。一方、中学生においては、自分だけが他のメンバーと違うこと、ペアやグループのメンバーに気を遣ったり、気まずさを感じることに不安や苦手意識を抱いている生徒が小学生よりも多いことが示された。これらは、認知的な困難に起因しつつも、グループのなかでの相互作用に意識があることから、「社会情動的な困難」と関連のある不安だと考えられた。また、小学生においては協働学習に対する肯定的な認識が学習行動や学級適応感へ、さらには学習行動も学級適応感へとつながることが示唆された。一方、中学生においては学級への適応感が協働学習に対する認識や学習行動につながることが示唆された。
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