研究課題/領域番号 |
20K03366
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伴 碧 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 特任講師(常勤) (30755658)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ふり遊び / 乳幼児 / pretense signal |
研究実績の概要 |
近年,子どもの想像力の欠如が問題視されている。特に,新型コロナウイルス禍においては,「非言語」のコミュニケーションが絶たれ,他者の表情がわかりにくいことが指摘されている(Unicef.2020)。このような中で,子どもの想像力を促す重要な遊びとして,1歳半から始まる「ふり遊び」が挙げられる。ふり遊びにおいて,子どもは他者の想像を理解し行動することが必要となるため,他者の意図を推測する能力との関連が示されている。 これまでのふり遊びの研究は,子どもと身近な他者である大人とのやり取りに焦点が当てられてきたが,具体的にどのようなやり取りが子どものふり遊びを促すか,詳細な検討は未だ少ない。そこで本研究では,大人のどのような働きかけが,乳幼児のふり遊びを促すかを検討することを目的とした。 2022年度は,昨年度に引き続き,新型コロナウイルス感染症の影響により,乳幼児を対象とした心理実験を対面で行うことが困難であった。そのため,今後の実験を見据えて,実験協力をしてくださる園(フィールド)の探索を行った。その結果,幼稚園および保育園一ヵ所ずつと提携することが出来た。このように,2023年度の対面実験の実施に向けて,フィールドを確保できたことは大きな成果といえる。 また,これまでに取得したデータの整理,分析および論文化を行った。具体的には,子どもと対面に着席した実験者が行ったふり遊びについて,子どもが「ふり遊び」の文脈として反応出来るかを検討したものである。結果として,1歳半児は,ふり遊びの文脈として反応することが困難であるが,2歳を過ぎると「ふり遊び」の文脈として反応することが示された。この知見は,1歳半児のふり遊びには,身近な大人の働きが重要であるというこれまでの知見(e.g.,伴・内山,2015)を支持するものであった。上記については,国際誌への投稿を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症のため,乳幼児を対象に対面実験することが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
対面実験を実施するためのフィールドが見つかったため,2023年度は,提携した幼稚園,保育園において対面実験を実施する。具体的には,大人のふりシグナルの種類を増やすことで,乳幼児のふり遊びを促すふりシグナルの質的要因について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
対面実験が困難であったため,謝金として計上していた使用額を消化することが出来なかった。また,学会についてもオンライン開催であったため,旅費を使用することが無かった。2023年度は,対面実験を実施予定であり,また,対面での学会開催が行われるため,繰越金を用いて実験の実施ならびに学会参加を行う。
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