2022年度においては、主に授業観察データを用いたメタ認知支援の指導方略の検討、研究成果をまとめた教員向けリーフレットの作成を行うことを計画していた。1点目について、小学校における算数科の授業および総合的な学習の時間における観察データを収集し、その分析を行った。最初に、本研究における研究レビューの結果をもとに、授業場面におけるメタ認知支援を測定する複数のカテゴリを設定した。次にそのカテゴリを用いて、6つの算数科の授業における教師の発話を分析し、その特徴を質的・量的に検討した。また、総合的な学習の時間におけるメタ認知支援について、1つの授業を事例的に分析し、授業展開との関連からメタ認知支援の具体を明らかにした。この2つの研究から得られた知見は、思考のガイドや思考の明確化など多様な点から教師は児童のメタ認知支援を行っていること、教師によってメタ認知支援のあり方が異なること、授業展開によってメタ認知支援のあり方が異なること、が示された。 2点目について、3年間の研究成果をまとめた教師向けのリーフレットを作成した。研究機関においては、先行研究におけるメタ認知支援のカテゴリの整理、小学生におけるメタ認知的方略の発達的変化、授業場面におけるメタ認知的活動の測定尺度の開発、内発的動機づけと授業時のメタ認知的活動との関連、授業場面におけるメタ認知支援の指導方略の具体化、を行った。これらの知見について、学校現場の教員に向けて説明するリーフレットを作成した。研究知見を学校現場の具体例ともに解説し、実際の指導に活かし得る形での示唆を掲載した。作成したリーフレットは、研究機関内における協力校等に配布し、いくつかの協力校では研修等での解説も行った。
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