研究1では、母子分離不安が強い3歳児1名を対象に短期縦断的観察研究を行った。園での居場所感が形成されていく過程を4期に分け、居場所感形成のためには,保育者との愛着関係に基づく仲間との多様で豊かな感情のやりとりと,それを可能にする遊び環境が必要であることが示された。研究2では、保育者3名に対するインタビュー調査から、保育者は、母子分離不安の強い幼児に対して、居場所感形成と感情コンピテンスのつながりを意識した関わりを段階的に行っていることが明らかになり、また、保育者や他児との愛着関係だけでなく、登園によって生じた自己効力感によって居場所感形成が促されることが示唆された。
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