研究課題
背景:少子高齢化社会を迎えた日本では、仕事と子育ての両立が懸念され、子どもを持つ働く女性のストレスが高まっている。また、ホルモンバランスの不調や親子関係に伴う不安の影響などから、育児におけるメンタルヘルスケアの必要性も指摘されている。このような問題を踏まえ、本研究では母親のQOL(Quality of Life)に関連する要因を明らかにすることを目的として調査を行った。生後1ヶ月と6ヶ月の子どもを持つ母親を対象に、質問紙調査、唾液採取、行動観察を行い、唾液中のストレス・育児ホルモンとQOLとの関連を検討した。方法:母親の育児生活を支援するため、妊娠期からの母親とその子どもを対象とした縦断的研究「いばらきコホートプロジェクト」を実施している。本研究では,質問紙調査、行動観察、生理指標調査など多面的なデータを収集している。本研究の分析対象は、生後1ヶ月と6ヶ月の子どもを持つ31人の母親で、そのうち19人の母親について両時点で生理指標データの入手が可能であった。唾液サンプルは1日4回(起床直後、起床30分後、就寝1~2時間前、就寝直前)、参加者の自宅で採取された。結果:オキシトシン値およびコルチゾール値と母親のQOL下位尺度との間に負の相関があることが明らかになった。オキシトシン分泌量の低下は、子どもの共感と感情制御の亢進を示唆していた。考察:本研究は、産後女性のQOLと唾液ホルモン値との関連を示した。Miura,et al.(2015)の研究結果と一致して、唾液ホルモン分泌量は必ずしも親子の相互作用の質の高さと相関しなかったことが判明した。
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立命館人間科学研究
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