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2022 年度 実施状況報告書

高校生における地域的特徴を踏まえた内発的目標の促進要因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03379
研究機関立命館大学

研究代表者

伊田 勝憲  立命館大学, 教職研究科, 教授 (20399033)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード動機づけ / 課題価値 / アイデンティティ / ジェンダー / 高校生 / 内発的目標
研究実績の概要

自己の成長とともに他者とのつながりやコミュニティへの貢献などを目指す「内発的目標」がウェルビーイング等の適応的な指標に促進的効果をもたらし,名声や経済的成功などの獲得を目指す「外発的目標」が抑制的効果をもたらすと考える「目標内容理論」を援用しながら,動機づけ研究におけるより包括的な理論的枠組みであるEccles & Wigfield(2020) などの期待-価値モデルに着目し,上記2つの目標とアイデンティティ形成の「模索」及び4つの「課題価値」(興味価値=学ぶことの楽しさ,獲得価値=学ぶことでなりたい自分に近づく,利用価値=学びが将来役に立つ)との関連について,2021年度に開発した簡易な方法で測定する質問紙について,その縦断的な検討を通して信頼性の検討を追加的に行った。その結果,それぞれ1変数のみの測定であっても,1年後の回答との間に中程度の正の相関が認められ,回答の安定性という視点から一定程度の信頼性が確認された。同時に,学科別・性別による分析を通して,自然科学系専門学科における内発的目標志向の得点が有意に上昇していることが示されたことから,1年間の学習経験による内発的目標志向の変容をとらえる実用性を備えていることが推察された。また,2つの目標に関する回答値の高低と「模索」(積極的モラトリアム)を志向する回答値の高低による8つの目標志向性類型についても,1年を経て同一の類型になる生徒の割合が3分の1を超え,一定程度の回答の安定性が反映されているとともに,類型間の移行については学習経験による成果が反映されている傾向が見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画では,ジェンダーギャップ等に着目しながら,地域的条件を踏まえた内発的目標等の促進要因の検討を行うための本調査を計画していたが,開発した簡易な測定方法の回答の信頼性と妥当性について縦断調査による追加的な検討を行ったため,研究期間を1年延長することとした。

今後の研究の推進方策

地域的な要因を含めた検討を行うために,全国の高校生を対象としたオンラインによる調査を実施する。具体的には,大学進学率等のジェンダーギャップに 地域差が見られるため,地域グループごとの分析等により,内発的目標の促進要因に違いが見られるか等について検討する。男子の方が女子よりも「外発的目標」が高く,「内発的目標」は男女ともに高いことがこれまでの調査で示されており,ジェンダーの視点にも留意した分析を行う。特に外発的目標が内発的目標を阻害するのか,あるいは逆に促進しうるのかについて,地域の特徴とともに学校風土の観点を踏まえて,検討を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

2021年度に開発した簡易な測定方法について,2022年度に縦断調査による信頼性等の追加的な検討を行ったため,オンラインによる全国的な規模での調査と,地域的特徴及び学校風土等を考慮した分析を2023年度に実施することになり,研究期間を1年間延長することとした。次年度使用額は,全国規模でのオンライン調査実施の際の業者への委託費への充当の他,関連図書の購入,学会発表の費用等への使用を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 高校1年次から2年次にかけての目標内容志向性と課題価値の回答の安定性:簡易な調査方法による縦断的検討の試み2023

    • 著者名/発表者名
      伊田勝憲
    • 雑誌名

      立命館実践教育研究

      巻: 5 ページ: 1-10

  • [学会発表] 高校1・2年次における目標内容志向性の検討:簡易な測定方法による普通科と理数系専門学科の縦断データから2023

    • 著者名/発表者名
      伊田勝憲
    • 学会等名
      日本発達心理学会第34回大会

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公開日: 2023-12-25  

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