研究課題/領域番号 |
20K03380
|
研究機関 | 東北文教大学 |
研究代表者 |
松田 浩平 東北文教大学, その他部局等, 教授 (30199799)
|
研究分担者 |
佐藤 恵美 東京富士大学, 経営学部, 准教授(移行) (20569975)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 前頭血流 / 反応時間 / 個人内変動 / 類型化 |
研究実績の概要 |
令和3年(2021年)度は持ち運び可能なラップトップPCにバイタルモニタ(T7500M)を設定し,Windowsのアップデートに伴うインターフェースの変更に対応するため分析ソフトウェアの更新を行った。さらに,nIR-HEGキット(8726-GB),EEG-Zセンサ(T9305Z)にTT-EEG2チャンネル接続キット(T8760)ならびにEKG(心電図)センサ(T9306M)を接続してE-Prime3の制御による実験機器の設定変更も迫られたため之についても変更を行った。そのうえで,生理指標・反応時間の測定について動作確認を研究代表者と分担研究者は,自分自身を被験者としながらチューニングを行なった。さらに,実験参加者による予備実験で機器設定条件を調整して測定精度(相対誤差0.5%)で予備実験の準備をしたが,COVID-19の感染防止のため対面実験を実施することができなかった。 令和3年度において,研究代表者は,バイタルモニタとE-Prime 3による生理指標と反応時間を測定する実験システムの構築と動作確認ならびに自分自身を被験者とした実験機器のチューニングまでは完了したが,対面実験が実施できる様態ではなかったため実施に至っていない。分担研究者は,実験装置のチューニングが未了のため測定精度を前提とした実験デザインの再構築を試みデータ解析モデルについて検討した。本年度はバイタルモニタならびにE-Prime 3を用いた評定条件の立案や実験刺激ならびに質問紙および面接票準備に留まっている。対面実験が実施できる状況待ちである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が依然として蔓延し,設備の整った医療機関などを除いて対面実験で生理指標の測定が困難であるため。本学では充分な生理実験施設を有しないため実験実施に至ることができなかった。また,昨年度と同様に東京都新宿区と山形市相互における出張および分担研究者と対面による装置構成の共同作業,実験デザイン,打ち合わせと機器のセットアップやチューニングも難しい状態が続いたがバイタルモニタの調整と実験準備を整えることまではできた。研究の本拠地を本学としているため研究代表者ならびに分担研究者による実地での機器調整や実験デザインの確認も不十分である。さらに,不織布マスクを装着した状態でnIR-HEGおよび前頭葉脳波の電極等を装着すると実験参加者への心理的負担が大きい。今年度が対面実験の再開が許される状況(2022年5月19日現在)であるため実験参加者と協議しながら進めてゆく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度の秋以降も対面実験ができる状態ではなく本研究を一時休止せざるを得ない状態であった。新型コロナウイルス感染症が令和4年度からは対面実験が許される状態になった。そのため昨年度に報告した推進方策とほぼ同様になる。令和4年度は,実験参加者に1回あたり概ね2000円の謝金を支払いデータ収集する。実験データの収集は松田と佐藤が既存の機器も併用して山形と東京で実施する。実験協力者に生理機器を装着するため,女性には佐藤が,男性には松田が担当する。令和2年度と令和3年度に執行できなかった実地地での研究代表者と分担研究者の共同作業のため旅費を要する。令和4年度中に所要のデータ件数を収集できるか未定であるため,進捗状況に応じて実験参加者を追加する場合もある。データ解析ならびに報告書の執筆作業にあたる。反応時間から,質問紙検査や面接および規定要因(因子,反応キー,個人間差など)との関連性を解析する。生理指標は,評定条件と脳血流・α波の左右同期・心電図などを用い,刺激語への反応が扁桃体優位か前頭前野優位など反応時間では測定できない要因を検討する。これをもとに,異なる評定条件による生理・行動指標の変化を明らかにし,1)被験者内相対的変動,2)被験者間相対的変動,3) 被験者内相対的変動×被験者間相対変動で階層および非階層的クラスタ分析を行う。クラスタに含まれる被験者の生理・行動指標から特徴とクラスタ内での特性の変化を従来の研究結果と比較検討し報告書を冊子として作成する。実験結果より,独立した特性間で生じる個人内変動による個人間差をクラスタ分析で類型化し,類似した特性内で生じる小さい個人間差を性格特性とし,従来からの特性論だけでなく新たに類型論を融合させた新たな相互作用に基づくパーソナリティ理論を検討する。これらの成果は国際学会で発表しBehavioral Sciences等に投稿したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度分報告と全く同じになるが,令和3年度に提出した研究計画において,研究の本拠地を東北文教大学しているため,研究代表者には1回,分担研究者には2回の打ち合わせのための出張を要した。併せて,実験機器の設定と実験参加者を招いて予備実験による研究代表者と分担研究者との共同作業で詳細なチューニングを予定していた。しかし,新型コロナウイルス感染症拡大のため,研究分担者との充分な共同作業を行うことが出来なかった。また,対面実験が不可能な状況が続き実験参加者を募集しての予備実験を実施することが不可能となった。そのため,機器の購入を行い設定と各センサとの接続試験に留まった。 今年令和4年度より感染予防に充分な注意を払った上での対面実験が可能となったため,令和3年度より予定されて執行できなかった被験者への謝金や実験協力者への謝金の支出などを含めて対面実験を開始するため,令和2年度・令和3年度に執行できなかった旅費および人件費を執行し,対面実験を重ねデータを収集する計画である。そのためバイタルモニタ関連の電極や消耗部品交換費などや心理検査用紙などの支出も予定している。
|