研究課題/領域番号 |
20K03388
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
宮下 敏恵 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40308226)
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研究分担者 |
森 慶輔 足利大学, 工学部, 教授 (90468611)
西村 昭徳 東京成徳大学, 応用心理学部, 准教授 (70439032)
北島 正人 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (30407910)
奥村 太一 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90547035)
増井 晃 上越教育大学, その他部局等, 特命研究員 (80190346)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新採用教員 / メンタルヘルス / バーンアウト / ストレス / 離職 |
研究実績の概要 |
新任教師を対象とし、職業性ストレス簡易調査票、バーンアウト尺度(日本版MBI-ES)、労働時間、離職意思などの質問項目による縦断調査を行った結果を学会等で報告した。 主な結果としては、職業性ストレス簡易調査票については、高ストレス者を年一度の実施で判定できるほど信頼性は高くない。一般化可能性理論にもとづいて個人差成分と時変成分を分けて検証したところ、実施を年一回に限るのであれば、より安定した特性の個人差を測れるように、時間とともに変動しうる状態としてのストレスを測るのであれば、より時間間隔を狭めて実施するようにすべきであることが示唆された。 日本版MBI-ESについては、情緒的消耗感は1学期は上昇し、夏期休暇で下降、2学期はさらに上昇し、3学期は下降するという結果がみられた。個人的達成感は夏期休暇まで上昇ないしは横ばい、その後は下降し、3学期に上昇するという結果であった。脱人格化においては、1学期、2学期は緩やかに上昇し、3学期は下降するという結果がみられた。日本版MBI-ESは個人差を判別するには十分な信頼性があると確認できたものの、個人内変化の信頼性についてはいずれの下位尺度も低めであった。十分な結論を出すにはデータを追加する必要があるが、個々の教師についてバーンアウトの変化を追ってゆく目的で使用するには向いていない可能性がある。 これらの結果から現行のストレスチェックは一時点での評価が多くみられるものの、その結果の信頼性は低いと考えられ、複数時点でのきめ細やかな把握が必要といえる。特に脱人格化の得点が一貫して上昇していく結果がみられたことから、早期の離職を防ぐためにも1学期の段階での介入が必要だと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症拡大の影響から調査やインタビューなどの実施が遅れているためである。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度後半より若手教員のメンタルヘルスの悪化を防ぐために管理職がどのような対応を行ったかについて、インタビュー研究を実施し、現在結果をまとめている。また若手教員自身がどのような支援を求めており、どのように困難を乗り越えてきたか、職場環境との関連についてもインタビュー研究を実施し結果をまとめている。 今後は職場環境との関連も含めてどのような支援や対策が必要か、研究結果全体をまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大のため研究の遂行がやや遅れているためである。2022年度後半よりオンラインによるインタビューなども併せて実施しており、対面による打合せも行い、今後は研究が計画通り進行すると考えられる。
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