本研究は,①実践事例の縦断的効果検証と新規事例の積み上げ,②思春期・青年期女子グループ支援の臨床プログラムを発展させ,その意義と必要性を明確にする,の2点を目的とした実践研究である.2022年度は引き続き,成長期の自閉スペクトラム症(ASD)女子グループに対する臨床行動分析的グループ療法を対象者の成長や新規参加者の状態像に応じてアレンジし,実践事例の縦断的効果検証と事例の積み上げを行うことを目的とした.このプログラムは本人や家族,社会的にも非常に意義ある研究であると考えている.対象者には特性について告知を受けて認知しているケース,確定診断を受けてはいないが特性があると自己理解しているケース等が混在していることから,心理教育の内容は慎重にアレンジした. 本年度は、既存のグループ運営に加えて保護者へのインタビュー調査を実施し,保護者の語りからみた発達障害女子支援のあり方と保護者の心理的適応過程について分析した.その語りに共通していたことは,①早期支援の重要性,②学齢期における対人関係の難しさとその時期に見出した希望,だった.また,子の発達特性を理解していく過程や,子への愛情,そして困難なことに対する「ストレングス」が共通テーマとして確認された. また,参加対象者個々の成長過程において,発達障害の特性があることについて,認知面・行動面・情緒面の変容が起こり,“発達特性のある自己”を理解し,進路選択や集団場面での過ごし方,困難なことへの対処法に心理教育の効果が認められた.
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