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2020 年度 実施状況報告書

原発事故影響下で支援者として働く人たちの複合的なあいまいな喪失体験とレジリエンス

研究課題

研究課題/領域番号 20K03393
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

瀬藤 乃理子  福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70273795)

研究分担者 松井 豊  筑波大学, 働く人への心理支援開発研究センター, 主幹研究員 (60173788)
前田 正治  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60248408)
佐藤 秀樹  福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助教 (30849097)
小林 智之  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60835487)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード東日本大震災 / 福島 / 原発災害 / 支援者 / あいまいな喪失 / レジリエンス / ストレス
研究実績の概要

初年度は、災害支援者に対する質問紙調査と個別インタビュー調査のための調査項目の抽出を行い、それぞれの調査用紙とインタビューガイドを作成した。
質問紙調査は、原発事故の発災直後から長期にわたって支援者がかかえた問題と、レジリエンスの要因が量的に解析できるよう、これまでの先行研究を数多くあたり、震災による個人の体験、現在の健康状態とストレス、震災体験の影響(プラス要因とマイナス要因の両方)、震災以降の災害(台風19号や新型コロナウイルス感染症の流行など)の影響などについて調査項目を抽出した。また、原発事故による「あいまいな喪失」の要因が明らかになるように、調査項目の中に、あいまいな喪失に関連する項目をいくつか加えた。
個別インタビュー調査は、質問紙調査では明らかにできない支援者が震災後に経験した困難とその中で培われたレジリエンス要因を、経時的かつ具体的に聞き取れるように、復興曲線の作図とそれに基づく半構造化面接のためのインタビューガイドを作成した。この質問紙調査と、個別インタビュー調査について、福島県立医科大学の研究倫理委員会の倫理承認手続きを進めた。
また、原発事故の避難をめぐるあいまいな喪失について、論文として先行研究をまとめた。あいまいな喪失のホームページサイト(あいまいな喪失情報サイト)には、福島第一原子力発電所事故によるあいまいな喪失の影響についてまとめたページを新たに追加し、ホームページの英語版を作成した。
(あいまいな喪失情報サイト【日本語版】https://al.jdgs.jp/ 【英語版】https://al.jdgs.jp/e_top/ )

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画当初は、調査と並行し、あいまいな喪失の支援者支援の方法を参考に、ワークショップ形式の支援者向けプログラムを作成し、研修会を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、対面のワークショップ方式の研修会が困難な状況であるため、当初の計画を見直し、研究の進め方を検討する必要があった。

今後の研究の推進方策

対面のワークショップ方式の研修会は、感染状況をみながら、次年度以降、実施方法を考える。
次年度は、先に質問紙調査とインタビュー調査を進める。質問紙調査はウェブ回答を併用し、インタビュー調査も、対面だけでなく、希望に応じてZoomにより遠隔でも行えるよう設定した。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症流行の影響で、調査方法や研修会開催方法の見直しが必要となったこと、同様の理由で沿岸部との往来が制限されたことなどが主な要因である。次年度は、感染症に配慮した調査方法に切り替え、調査をお願いする機関や支援者個人に対してもその旨を伝え、まず質問紙調査とインタビュー調査から実施していく。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (3件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 「惨事ストレス」とその対策2021

    • 著者名/発表者名
      松井豊
    • 雑誌名

      安全と健康

      巻: 22 ページ: 22-25

  • [雑誌論文] 惨事ストレスの対応方法と産業医の役割2021

    • 著者名/発表者名
      松井豊
    • 雑誌名

      地方公務員安全衛生協会令和2年度産業医研修会講演集

      巻: - ページ: 67-97

  • [雑誌論文] マインドフルネスを活用した「セルフケアプログラム」の試み~一次予防プログラムとしての有用性の検討~2020

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子、坂口幸弘、丸山総一郎
    • 雑誌名

      産業ストレス研究

      巻: 27 ページ: 263-271

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「あいまいな喪失」という概念とそのケア2020

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 雑誌名

      訪問と看護

      巻: 25 ページ: 364-369

  • [雑誌論文] 臨床場面における「心的外傷後成長(PTG)」~PTGという概念がもたらしたもの~2020

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子、前田正治
    • 雑誌名

      精神科治療学

      巻: 35 ページ: 589-594

  • [雑誌論文] 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時における医療従事者のメンタルヘルス支援2020

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子、竹林由武、前田正治
    • 雑誌名

      産業ストレス研究

      巻: 27 ページ: 351-361

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 新型コロナウイルス感染症パンデミック下における死別の支援2020

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子、坂口幸弘、村上典子、前田正治
    • 雑誌名

      グリーフ&ビリーブメント研究

      巻: 1 ページ: 3-11

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 2020研究所第13回フォーラム「被災した自治体職員のストレス」2020

    • 著者名/発表者名
      松井豊
    • 雑誌名

      モチベーション研究

      巻: 9 ページ: 45-59

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] “ニューノーマル時代”のメンタルケア2020

    • 著者名/発表者名
      松井豊
    • 雑誌名

      ガバナンス

      巻: 234 ページ: 42-44

  • [雑誌論文] 令和元年度災害時における地方公務員のメンタルヘルス対策に関する調査結果について2020

    • 著者名/発表者名
      高橋幸子、松井豊
    • 雑誌名

      地方公民月報

      巻: 4 ページ: 18-38

  • [雑誌論文] Resilience factors contributing to mental health among people affected by the Fukushima disaster: Development of Fukushima Resilience Scale.2020

    • 著者名/発表者名
      Takebayashi, Y., Maeda, M., Orui, M., Nakajima, S., Momoi, M., Ito, A., Sato, H., Yasumura, S. & Ohto, H.
    • 雑誌名

      Frontiers in Public Health

      巻: 5 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fpubh.2020.00159

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 福島第一原発事故における社会的アイデンティティと心理的苦痛:COVID-19パンデミックへの示唆2020

    • 著者名/発表者名
      小林 智之、吉田 和樹、竹林 由武他
    • 雑誌名

      新情報センター機関紙

      巻: 108 ページ: 9-16

  • [雑誌論文] Belief in group interdependence: Facilitating evacuee-host interactions after the Fukushima nuclear acciden2020

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Kobayashi, Kazuki Yoshida, Yoshitake Takebayashi et al.
    • 雑誌名

      Journal of Applied Social Psychology

      巻: - ページ: 1-9

    • DOI

      10.1111/jasp.12753

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] パンデミックにおけるあいまいな喪失とレジリエンスの視点2020

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      日本家族療法学会第37回東京大会
  • [学会発表] 福島県の県民健康調査における甲状腺二次検査の受診者とその家族に対するアンケート調査2020

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子, 行形裕子, 吉田房江, 大島加代子他
    • 学会等名
      第63回日本甲状腺学会
  • [学会発表] 避難区域住民に対する電話支援での相談内容の年次推移:福島県県民健康調査「こころの健康度・生活習慣に関する調査」2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤秀樹・前田正治・桃井真帆他
    • 学会等名
      日本健康心理学会第33回バーチャル大会
  • [図書] Spirituality as a Way2021

    • 著者名/発表者名
      Naoki Kashio, Carl Becker
    • 総ページ数
      2019
    • 出版者
      Kyoto University Press and Trans Pacific Press
  • [図書] 東日本大震災とこころのケア2021

    • 著者名/発表者名
      前田 正治、松本和紀、八木淳子
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      978-4-535-90461-3
  • [図書] 災害時における津法公務員のメンタルヘルス対策マニュアル2021

    • 著者名/発表者名
      松井豊、高橋幸子
    • 総ページ数
      32
    • 出版者
      地方公務員災害補償基金
  • [図書] 遠隔心理支援スキルガイド2020

    • 著者名/発表者名
      前田 正治、桃井 真帆、竹林 由武
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      誠信書房
    • ISBN
      978-4414416732
  • [図書] 看護職員の惨事ストレスとケア 災害・暴力から心を守る2020

    • 著者名/発表者名
      松井豊
    • 総ページ数
      132
    • 出版者
      朝倉書店

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公開日: 2021-12-27  

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