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2021 年度 実施状況報告書

原発事故影響下で支援者として働く人たちの複合的なあいまいな喪失体験とレジリエンス

研究課題

研究課題/領域番号 20K03393
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

瀬藤 乃理子  福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70273795)

研究分担者 松井 豊  筑波大学, 働く人への心理支援開発研究センター, 主幹研究員 (60173788)
前田 正治  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60248408)
佐藤 秀樹  福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助教 (30849097)
小林 智之  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60835487)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード原発事故 / 自治体職員 / メンタルヘルス / あいまいな喪失 / レジリエンス
研究実績の概要

2年目は、福島第一原子力発電所があった福島県双葉郡の自治体の職員に対し、初年度に作成したアンケートを使って調査を実施した。福島県双葉郡の自治体は、すべての町村が原発事故によって強制避難を余儀なくされている。
現在までに、双葉郡5町村で同意を得られた自治体職員384名から回答を得て、分析を進めている。そのうち震災時も現在の職場にいた人は142名(37%)であった。自治体ごとに分析を行ったところ、K6の高得点者(≧13点)の割合は、自治体により7~18%と幅があり(平均13.0%)、「とても疲れている」と回答した人の割合は25~45%(平均35.2%)、「この仕事を続けていく自信がない」と回答した割合は15~33%(平均25.2%)にのぼった。また、職員のメンタルヘルスに共通する課題として、①管理職以外にも、20代や30代といった若い世代のメンタルヘルスの悪化が危惧されること、②多忙さや、職員間のコミュニケーションの不足などから、心にゆとりがない職員が多いこと、などが浮かび上がった。
これらの結果は、自治体ごとにも分析を進め、それぞれの自治体にフィードバックを行い、意見交換を行い、各自治体の職員のメンタルヘルスの状況に合った支援体制づくりを提案した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルスの影響が大きく、自治体の希望も受け、アンケート調査から実施し、インタビュー調査が今年度は着手できなかったため。

今後の研究の推進方策

現在、まだ依頼中の町村もあるため、引き続きアンケート調査を継続し、分析を進めていく。メンタルヘルスの問題だけでなく、レジリエンス要因に着目した統計解析を進める。

また、アンケート調査もふまえて、各町村で報告した際に、各町村からの研修会の要望が出ているため、調査結果やそれぞれの町村の要望も踏まえた内容と方法で、具体的な支援方法を考え、実際に職員向けの研修会を行っていく予定である。

それらをふまえ、原発事故直下の自治体全体として、継続的に行政職員のレジリエンスを高めることができる体制やモデル案を検討していきたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の拡大により、アンケート調査のやりとりも郵送が多くなり、また、インタビュー調査も実施できなかったこと、成果発表の学会もオンライン開催がほとんどであったことから、旅費等の必要経費が大幅に減少した。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 東日本大震災を体験した看護管理職の震災後の苦労と退職意向に関する探索的検討2022

    • 著者名/発表者名
      山﨑達枝・桑原裕子・松井豊
    • 雑誌名

      日本災害医学会雑誌

      巻: 27 ページ: 80-88

  • [雑誌論文] 原発事故と避難による福島の「あいまいな喪失」ー遠く離れた故郷への思い―2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子 , 前田正治 , 本郷由美子他
    • 雑誌名

      現代の図書館

      巻: 59 ページ: 17-24

  • [雑誌論文] パンデミックにおけるあいまいな喪失とレジリエンスの視点2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 雑誌名

      家族療法研究

      巻: 38 ページ: 97-98

  • [雑誌論文] 被災地の支援者がかかえる『あいまいな喪失』2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 雑誌名

      日本精神衛生会 心と社会

      巻: 52 ページ: 75-82

  • [雑誌論文] あいまいな喪失とレジリエンス2021

    • 著者名/発表者名
      黒川雅代子 , 瀬藤乃理子 , 石井千賀子
    • 雑誌名

      臨床心理学

      巻: 21 ページ: 642‐647

  • [雑誌論文] 「あいまいな喪失」と「公認されない悲嘆」~被災者のレジリエンスにおける社会的影響~2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 雑誌名

      臨床心理学

      巻: 21 ページ: 715‐719

  • [雑誌論文] バーンアウトや共感疲労を防ぐ組織の工夫2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 雑誌名

      こころの科学

      巻: 222 ページ: 32-38

  • [雑誌論文] 福島原発災害から10年のメンタルヘルスの問題:WHOフレームワークの紹介2021

    • 著者名/発表者名
      前田正治 , 瀬藤乃理子 , 佐藤秀樹
    • 雑誌名

      トラウマティック・ストレス

      巻: 19 ページ: 35-43

  • [雑誌論文] 福島原発事故後10年の経過を振り返って:メンタルヘルスの視点から2021

    • 著者名/発表者名
      前田正治
    • 雑誌名

      日本精神衛生会 心と社会

      巻: 52 ページ: 25-31

  • [雑誌論文] 原発災害が与えたメンタルヘルスへの長期的影響:発災後の10年を俯瞰する2021

    • 著者名/発表者名
      前田正治
    • 雑誌名

      学術の動向

      巻: 26 ページ: 46-50

  • [雑誌論文] あらゆる脅威に対するメンタルヘルス対策:自然災害、人為災害からテロまで2021

    • 著者名/発表者名
      前田正治
    • 雑誌名

      精神神経学雑誌

      巻: S478 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] May risk communication with non-experts contribute to post-disaster restoration of normalcy? A survey on the disaster-struck prefectures after the Great East Japan Earthquake2021

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Kobayashi, Yoshitake Takebayashi, Aya Goto,et al.
    • 雑誌名

      International Journal of Disaster Risk Reduction

      巻: 65 ページ: 102564.

    • DOI

      10.1016/j.ijdrr.2021.102564

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「惨事ストレス」とその対策2021

    • 著者名/発表者名
      松井豊
    • 雑誌名

      安全と健康

      巻: 22 ページ: 22-25

  • [雑誌論文] 支援者のストレスやトラウマとそのケア2021

    • 著者名/発表者名
      松井豊
    • 雑誌名

      こころの科学

      巻: 222 ページ: 19-25

  • [学会発表] 東日本大震災におけるあいまいな喪失:行方不明者家族の支援からの学び2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      第20回トラウマティックストレス学会
  • [学会発表] パンデミックにおけるあいまいな喪失 ~医療従事者のレジリエンスを支える~2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      家族療法学会第38回大会
  • [学会発表] 災害とあいまいな喪失~行方不明、原発災害、COVID-19 の支援を通して~2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      第25回日本心療内科学会学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] COVID-19パンデミックにおける死別の支援2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      第4回日本グリーフ&ビリーブメント学会
  • [学会発表] あいまいな喪失の理論と介入 ~災害支援における示唆~2021

    • 著者名/発表者名
      瀬藤乃理子
    • 学会等名
      令和3年度福島医学会学術研究シンポジウム
  • [図書] コロナ禍における医療・介護従事者への心のケア:支援の現場から2021

    • 著者名/発表者名
      前田正治(編)瀬藤乃理子, 小林智之, 竹林 唯, 佐藤秀樹ほか(分担執筆)
    • 総ページ数
      189
    • 出版者
      誠信書房
    • ISBN
      978-4-414-41684-8

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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