前研究と同様、被爆地以外の被爆者に被爆体験以降の心の傷と人生の支えを調査した。被爆地で生活する被爆者と同様、健康不安は生涯を通じ地雷のように心に潜み、不調、大病を契機に強まり、就職や結婚、子どもの誕生等には、強く意識されていた。差別や偏見については、被爆地以外で生活すると、暗黙裡に知った者同士が殆どいないため、子どもが成長したり、退職するまで被爆者であるとカミングアウトすることを避ける人が多かった。一方、被爆地の被爆者と同様、結婚や子どもの誕生、成長、趣味、仕事、被爆者同士のつながりが人生の中での支えとなっており、被爆体験の伝承が生存者としての責務と捉えるも、困難を伴うことが明確になった。
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