研究課題/領域番号 |
20K03398
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
吉畑 博代 上智大学, 言語科学研究科, 教授 (20280208)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 失語症 / 評価法 / 質問紙 |
研究実績の概要 |
本研究では、イギリスで、Swinburnら(2004)によって開発された失語症検査Comprehensive Aphasia Test(以下、CATと称す)の日本語版検査(以下、JCATと称す)を完成させ、その実証研究を行うことを目的としている。CATは、大きくは3部からなり、第1部:認知機能スクリーニング検査、第2部:言語機能検査、第3部:失語症当事者にインタビュー形式で、失語症になっての「ここ1週間」の気持ちを伺う質問紙で、構成されている。 昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、人との接触が制限されたことにより、計画に遅れが生じ、JCATの予備調査を実施し、その結果をまとめるという作業にとどまった。そのような中、JCAT作成を進めるにあたって、CAT作成者の筆頭著者であるSwinburn氏らとの情報交換を続けていたところ、Swinburn氏から、2022年2月にCAT第2版を出版する予定であるという連絡を受けた。第1版と第2版の大きな違いは、第3部の「当事者への質問紙」であった。第2版の第3部では、失語症の人が回答しやすいように、また理解しやすいように、①選択肢として顔の表情を5段階に変化させたイラストを用いる、②質問文の理解を促すために質問文の内容に合ったイラストを添える、③問題数を1版の計32問から、計21問と少なくする、などの変更が行われ、失語症者フレンドリーな質問紙であることが明らかになった。そのためJCATの第3部でも、第2版の内容を用いることにし、そのための確認や修正作業を実施した。なお第2版での、第1部や第2部には変更がないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍での感染予防対策のため、人を対象とするデータ収集に制限があり、JCAT開発における予備調査の実施のみに留まった。学会参加や講習会参加においても、いまだ制限があり、計画通りに情報収集を行うことが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は予備調査の結果を踏まえて必要な修正を行い、本調査へと進む計画である。本調査先としては、全国を8グロックに分けて、各ブロックから3~4施設に依頼する予定である。本調査依頼先の施設には、打診済みであるため、今後も情報交換を続けて、本調査への研究協力を依頼する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、人との接触が制限され、予備調査の実施が遅れ、さらに本調査を実施することができず、人件費や謝金などを計画通りに使用することができなかった。また、学会や各種講演会について、中止やオンライン開催への変更が行われ、旅費なども計画的に使用することが難しかった。 今後、本調査へと進める計画であるため、本調査実施に係る人件費や謝金を支出する予定である。また対面での学会開催や講習会開催へと、戻りつつあるため、今後の感染状況を確認しながらではあるが、参加し、情報収集を行う予定である。
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