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2021 年度 実施状況報告書

学校を中心とした生活困窮世帯の子どもと家庭の支援に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03401
研究機関中京大学

研究代表者

吉住 隆弘  中京大学, 心理学部, 教授 (60535102)

研究分担者 加藤 弘通  北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20399231)
飯田 昭人  北翔大学, 教育文化学部, 准教授 (60453289)
畠垣 智恵  静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (60436988)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード子どもの貧困 / 学校との連携・協働 / チーム学校
研究実績の概要

課題研究「教員の貧困認識の特性と支援における困難感の検討」について,教員192名から得られた自由記述にテキスト分析を行い,貧困世帯の子どもとの関わりに伴う困難を検討した。特徴語分析および対応分析の結果,小学校教員は,家庭環境の問題や関係機関との連携の問題を認識していることが分かった。中学校教員は,学校としての支援のあり方全般に困難を感じていた。特に困難を抱える親との関りや教員の経験不足を課題と感じていることが分かった。高校教員は,貧困の状況の見えにくさを課題と感じていることが分かった。
課題研究の「貧困が子どもの発達に与える影響の実証的検討」について,昨年度に引き続き学習サポート事業に参加する生活困窮世帯の中学生157名と,保護者146名を対象に質問紙調査を行った。その結果,8割の中学生が本事業に参加して,自分自身に肯定的な変化が生じていることが明らかになった。またその変化には,勉強の面白さが関係しており,学習支援が生徒の肯定的な変化に繋がっていることが明らかになった。しかし、昨年度と比べ、その関係の強さは、相対的に弱まっていた。一方で、居場所感にかかわる自己有用感については、サポーターといった大人とのかかわりよりも、中学生同士の交流や他校の中学生の仲間ができたことなど、友人関係の要因が関連していた。
また新型コロナウイルスは,経済的困難を抱える大学生にも深刻な影響を与えていると考え,大学生を対象とした調査も実施した。大学生約700名を対象に,新型コロナウイルスによる経済的影響,遠隔授業環境,精神的健康の関連を調べた。結果,経済的負担感のある大学生は,ライブ型授業の負担感やK6,GAD-7,孤独感も高い傾向にあり,精神的健康の側面への支援の必要性を示唆する結果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「学校内でのチーム支援の検討」や「学校が地域の社会資源とつながるための仕組みの検討」については,新型コロナウイルスの影響を受け,団体・組織への調査が難しく実施できなかった。フィンランドでの視察調査も,コロナ禍の影響に加え,不安定な国際情勢を受け,実施ができなかった。

今後の研究の推進方策

「貧困が子どもの発達に与える影響の実証的検討」については,2021年も引き続き,さっぽろ青少年女性活動協会と共同で,学習支援事業において,質問紙調査を実施する予定である。2022年度も昨年度・今年度同様、学習サポート事業に参加する中学生とその保護者を対象とした調査を実施する。また名古屋市が実施した「名古屋市子ども・若者・子育て家庭意識・生活実態調査」のデータを再分析し,貧困の子どもへの影響を検討する。
「学校内でのチーム支援の検討」,「学校が地域の社会資源とつながるための仕組みの検討」については,新型コロナウイルスの状況を鑑みながら,中学校や高校や地域で活動している諸団体への調査を検討する。フィンランドでの視察調査も同様,新型コロナウイルスおよびヨーロッパの国際情勢を注視しながら,調査の可否を検討する。実施できた場合は,ヘルシンキ市およびトゥルク市において、小中学校を訪問し、子どもたちの不登校やいじめ、学習困難といった問題を支援しているスクールナース、スクールサイコロジスト、地域から募った社会人ボランティアへのインタビューをおこなう。移民や難民の子どもが多く在籍している小中学校の教員にインタビューを行い、また外国籍家族の地域での適応を支援するために設立されている若者センターを視察および、異文化コーディネーターにインタビューを行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響により,当初予定していた中学校や高校や地域で活動している諸団体を対象とした質問紙調査やインタビュー調査が実施できなかったためである。コロナの状況の改善を見据えながら,調査や視察の可否を検討する。またフィンランドへの視察調査もコロナに加え,ヨーロッパの国際情勢を踏まえ,渡航を検討する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 大学生活と経済状況との関連についての研究(第2報)  順位相関分析,因子分析,重回帰分析の結果をもとにして2022

    • 著者名/発表者名
      飯田 昭人
    • 雑誌名

      北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要

      巻: 13 ページ: 73~82

    • DOI

      10.24794/00003383

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 講演録 2020年度北翔大学北方圏学術情報センター主催連続市民講座『心理学の視点から生活を支えることを考える』2021

    • 著者名/発表者名
      飯田 昭人, 加藤 弘通,吉住 隆弘
    • 雑誌名

      北翔大学北方圏学術情報センター年報

      巻: 13 ページ: 113~124

  • [雑誌論文] 新型コロナウイルス感染拡大状況における遠隔授業環境や経済的負担感と大学生の精神的健康の関連2021

    • 著者名/発表者名
      飯田 昭人, 水野 君平, 入江 智也, 川崎 直樹, 斉藤 美香, 西村 貴之
    • 雑誌名

      心理学研究

      巻: 92 ページ: 367~373

    • DOI

      10.4992/jjpsy.92.20339

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 貧困と子どもの問題2022

    • 著者名/発表者名
      加藤弘通
    • 学会等名
      日本パーソナリティ心理学会・日本青年心理学会オンライン合同シンポジウム
  • [学会発表] Quality of Life and Social Support in Children from Impoverished Households in Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Takahiro YOSHIZUMI
    • 学会等名
      32nd International Congress of Psychology
    • 国際学会
  • [学会発表] 学校臨床におけるアセスメントの活用と限界~学習の困難さに対するアセスメント~2021

    • 著者名/発表者名
      畠垣智恵
    • 学会等名
      日本教育心理学会第62回大会 総会企画シンポジウム
  • [図書] 第2章「思春期からの青年期の発達の特徴」 第3節 青年期の発達課題 第4節 青年期の心理社会的問題 常田美穂・辰巳裕子・北川裕美子・吉井鮎美(編)『子ども家庭支援の心理学ー子どもの未来を支える家庭支援のあり方を探る』2021

    • 著者名/発表者名
      加藤弘通
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      ひとなる書房
    • ISBN
      978-4894642768
  • [図書] 第5章 メディアにおける子ども・若者への影響を正しく理解する 「さっぽろ子ども・若者白書」をつくる会編『さっぽろ子ども・若者白書2020』2021

    • 著者名/発表者名
      飯田昭人
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      「さっぽろ子ども・若者白書」をつくる会

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公開日: 2022-12-28  

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