研究課題/領域番号 |
20K03403
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
駿地 眞由美 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (10388217)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | PTG / sense of coherence / 肯定的ボディイメージ / がんへの心理的適応 |
研究実績の概要 |
1.女性乳がんサバイバーのPTGを支える内的資源としてsense of coherence(SOC)(Antonovsky,1987)を仮定し、PTGとの関連を検討した。調査対象者は、診断後5年以内の女性乳がん経験者709名(年齢=47.2±12.8歳;診断からの経過年数=27.8±16.9月)であった。分析の結果、SOCは、乳がんという病の体験を生きる上で、その体験に意味を見出し、揺さぶられた内的世界に一貫性・安定性をもたらす原動力となりうること、それにより病の体験を含めた人生の紡ぎ直しやアイデンティティの再構築のプロセスが生じ、PTGというポジティブな心理的変容が体験される可能性があることなどが示唆された。他方、SOCとPTGの関連は一方向的なものではなく、病の経験を心理的成長にもつながる意味あるものとして体験することによってSOCが強化され、生活・人生上のさまざまな困難をよりしなやかに生きられるための力が醸成されることも考えられ、さらなる検討が求められる。 2.女性乳がんサバイバーのPTG、肯定的ボディイメージ、がんへの心理的適応の継時的な相互関係を明らかにすることを目的とした2回のパネル調査を実施した。分析対象となったのは、2回の調査に参加した468名(第1回調査時の平均年齢(歳)=50.13、SD=11.88;第1回調査時の診断からの経過月数の平均(月)=28.95、SD=17.24)であった。分析の結果、肯定的ボディイメージからPTGおよび心理的適応への因果的影響が示唆され、この領域における新たな知見を追加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までに取得したデータを分析し、成果を発表することができた。しかし、COVID-19による影響で面接調査を実施することができず、また、その他の業務が多忙であったこともあり、計画通りに研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題におけるこれまでの調査により、乳がんサバイバーのPTGに関わる要因についてある程度明らかにできた。次年度は、今年度実施予定だった調査を追加しながら、これまでの調査結果の総合的な分析・考察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた調査を実施できなかったことにより、次年度使用額が生じた。 次年度に調査を実施することにより、使用する。
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