研究課題/領域番号 |
20K03404
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
大和田 攝子 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (10340936)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地域援助 / 遺族ケア / 死別 / 悲嘆 / リスクアセスメント |
研究実績の概要 |
本研究は、医療従事者が患者の死別前から家族の不適応を予測するための独自に開発したアセスメントツールを用いて、より効率的に遺族ケアを提供できるような支援システムの構築を目的とする。研究代表者はこれまで研究協力者である医療機関(緩和ケア科)の協力を得て、遺族に対して死別直後から切れ目なくケアを提供できるようなプログラムを開発し、実践を行ってきた。しかし、個々の遺族のニーズや状況に合わせたきめ細やかなケアを提供するには、限られた資源では限界がある。そこで、患者の死別前から家族の不適応を予測し、早期に支援・介入を行うことは、限られた資源を有効に活用する上で必要不可欠であると考えられる。本研究では、医療従事者が家族の不適応を予測するためのアセスメントツールの実用化を目指す。そして、遺族のニーズやリスクの程度に応じて支援や介入の方法(プログラム)を選択できるような支援システムの構築と有効性の検証を試みる。 初年度は、死別後の遺族の不適応を予測する悲嘆予測チェックリストの運用方法について検討した。まず、2015年度(平成27年度)から2018年度(平成30年度)にかけて収集した578名のデータを再分析し、遺族の不適応を予測する要因の抽出やカットオフ値の設定などに関して検討を行った。また、海外で行われている遺族のリスクアセスメントに関する文献研究も同時に行い、次年度より悲嘆予測チェックリストを用いて家族の評価が行えるよう準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
死別後の遺族の不適応を予測するための悲嘆予測チェックリストの運用方法について検討できたことは初年度の成果であると考える。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、研究協力者である医療機関が深刻な影響を受け、医療従事者および患者の家族の協力が見込めない状況が続いている。また、これまで医療機関において実施してきた遺族ケア・プログラムの大半が中止となった(一部オンラインで実施)ことに加え、初年度に予定していた遺族ケア・プログラムの拡充についても検討することができず、研究は遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況にもよるが、次年度は遺族ケア・プログラムの拡充について検討するとともに、遺族に配布する悲嘆に関する情報をまとめた小冊子の内容を改訂する(利用可能なプログラム内容や社会資源を追加)。また、状況が整えば、悲嘆予測チェックリストを用いて看護師による家族の評価を行う。 しかし、現在のような感染状況が続けば、遺族ケア・プログラムを可能な限りオンラインに切り替え、プログラムの拡充を断念するなどの研究計画の変更もあり得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺族ケア・プログラムの内容や社会資源をまとめた小冊子を作成するため印刷費用(業者に外注)を計上していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により研究計画が予定通り進まず、次年度以降に延期することとなった。また、研究発表および資料収集のため学会参加費用(国内旅費)を計上していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により学会の開催中止あるいはWeb開催へ変更となったため、初年度は使用しなかった。さらに、守秘性の高いデータを取り扱うためインターネットに接続しない専用のノートパソコンを購入する予定であったが、研究計画が遅れているため次年度以降に先送りすることとなった。 初年度の未使用額は、遺族ケア・プログラムの内容や社会資源をまとめた小冊子の作成・印刷費用(業者に外注)の他、研究発表および資料収集のための学会参加費用(国内旅費)、専用のノートパソコンや統計ソフトなどに充てる予定である。また、状況が整えば、遺族ケア・プログラムに新たに追加する生活支援プログラムの講師への謝金や質問紙送付のための通信費(切手代等)などに充てる予定である。
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