研究課題/領域番号 |
20K03407
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
成澤 知美 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 特任研究員 (70753466)
|
研究分担者 |
松岡 豊 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 部長 (30370985)
越智 英輔 法政大学, 生命科学部, 准教授 (90468778)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | がん再発不安 / うつ / がんサバイバーシップ / ランダム化比較試験 / 運動介入 |
研究実績の概要 |
我が国における乳がんの罹患率、死亡率は高齢化及び生活習慣の欧米化の影響で増加しており、現在毎年約8.5万人以上の女性が新たに乳がんに罹患している(国立がん研究センター)。一方で、治療の進歩に伴い乳がんの生命予後は改善し、現在の乳がん罹患者の5年生存率は90%を超え、10年生存率でも80%を超えており、がんサバイバーの数は増加している。 心理的負担(がん再発不安と抑うつ)は、がんサバイバーにおいて最も頻繁に経験される未だ満たされていないニードであり、その対策が求められている。本研究の目的は、乳がんサバイバーに対して情報通信技術を活用したエクササイズによる介入を行うことで、がん再発不安やうつを軽減できるかどうかを検討することである。 介入に使用するエクササイズの内容に関しては、乳がんサバイバー当事者及び乳がんサバイバーの治療や支援の経験が豊富な医療関係者への聞き取り調査を行い、楽しく継続できることや具体的な助言及びポジティブなフィードバックを提供することによってモチベーションを高められるよう動機づけ面接の要素を用いて作成した。 全てのリクルートと追跡調査が終了したが、重篤な有害事象はなく、介入の脱落が25人中1人、追跡調査の未回答が50人中1人と順調に進めることができている。データの解析は今年度に実施するが、介入を受けた参加者からは主観的な効果を感じることができモチベーションを保持しながら継続することができているとのフィードバックが得られている。これらのことから実施可能性に関しては問題なく進められており、効果が確認されれば多施設共同研究などに発展させる準備が可能と思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では2019年度に国立がん研究センター研究倫理審査委員会の承認を得た(2018-347)後、参加者リクルートを開始した。 研究立案時点では60人の参加を得る予定であったが、2020年3月から5月にCOVID-19のための緊急事態宣言が発出されたことからこの期間の参加者リクルートの実施が不可能であったこと、今後の状況も不透明でありリクルート後の調査及び介入の実施ができない可能性があることから、2020年8月に当初の予定よりも少ない50名の参加で2020年8月にリクルートを終了した。 研究参加者は介入群、対照群とも25名ずつに割り付けられた。アウトカム評価については介入群の1名が介入途中で脱落し、対照群の1名が評価に参加しなかったため、各群24名ずつの追跡となり、2021年2月に全ての評価を終了した。現在は結果の解析を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在は得られたデータの解析を行っており、今年度中に論文し国際雑誌に投稿する予定である。論文の投稿先はCancer誌(Impact factor:5.772)を検討している。論文が受理された後、国際学会での発表を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品購入の際の価格が予定よりも低く設定されたため、その差額分が未使用となり、次年度使用とさせていただきました。 令和3年度分の物品費その他に使用させていただく予定にしております。
|