研究課題/領域番号 |
20K03413
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
牧 郁子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70434545)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小学生 / 中学生 / 無気力感 / 尺度 |
研究実績の概要 |
1.発達段階別・無気力感パターンの検討 小学生・中学生共用版尺度を用いて,校種別における無気力感のパターンを検討した。その結果,両校種とも,低無気力型,気力・行動意欲低下型,抑うつ状態型の3パターンが認められた。低無気力型は保護者との情動交流,コーピング・エフィカシー,随伴経験が平均値より高く,また非随伴経験・思考の偏りが平均値より低いことが認められた。気力・行動意欲低下型は,保護者との情動交流,コーピング・エフィカシー,随伴経験が平均値より低いことが認められた。一方,抑うつ状態型は,非随伴経験・思考の偏りが平均値より高いことが認められた。以上から,無気力感の質的な違いによって,その介入方法が違う可能性が示唆された。そしてその人数を確認したところ,小学生は低無気力型=126,気力・行動意欲低下型=158,抑うつ状態型=76という結果となり,一方中学生は無気力型=173,気力・行動意欲低下型=160,抑うつ状態型=27という結果となった。以上から,小学生の方が中学生よりも抑うつ状態型の人数が倍以上となり,子どもの無気力感への早期対応の必要性が示唆された。 2.発達段階別・無気力感構造の追加検討 小学生・中学生共用版尺度を用いて,校種別における無気力感の構造をさらに検討した。その結果,小学生はポジティブ情動の送受信・ネガティブ情動の子ども送受信が随伴経験とコーピング・エフィカシーを経由して気力・行動意欲の低下に負の影響を与える経路と,非随伴経験が思考の偏りを経由して抑うつ状態につながる経路とが,比較的独立して作用している可能性が示唆された。一方中学生は,ポジティブ情動の送受信・ネガティブ情動からの非随伴経験へのパスと,随伴経験から非随伴経験からのパス,そしてコーピング・エフィカシーが思考の偏りにつながるパスが認められ,2つの経路が影響しあって作用している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた校種別の無気力感パターン分析と,無気力感構造のさらなる分析まで進めることができたが,それらの結果に基づく発達段階別・子どもの無気力感予防チェックシート項目案の策定および内容妥当性の検討まで進めることはできなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
1.発達段階別・子どもの無気力感予防チェックシート項目案の策定:R5までのデータ解析結果に基づき,発達段階の違いを考慮した無気力感予防チェックシート項目案を策定する予定である。 2.無気力感予防チェックシートの内容妥当性の検討:策定した項目の内容妥当性のチェックを,小学校・中学校教師に依頼する予定である。 3.無気力感予防チェックシートの実施と効果検討:保護者・教師にチェックシートを実施し,自由記述調査により効果検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
発達段階別・子どもの無気力感予防チェックシートを作成するために,国内外の論文・書籍の購入が必要である。また解析結果に関して学会で発表し,研究者コミュニティーから意見聴取を行う必要があるため,学会年会費・参加費および参加のための交通費・宿泊費等の諸経費が必要である。さらに作成した「子どもの無気力感予防チェックシート」の効果検討のために,小中学校教師,および小中学生の子どもを持つ保護者を対象に調査を行うための,調査会社への依頼費用が必要である。
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