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2021 年度 実施状況報告書

男性DV被害者の認知行動パターンとその支援の社会的実装に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03421
研究機関法政大学

研究代表者

越智 啓太  法政大学, 文学部, 教授 (40338843)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードデートバイオレンス / ドメスティックバイオレンス / DV / 認知バイアス / 恋愛 / ハラスメント
研究実績の概要

本年実施した研究とその結果は以下のとおりである。
1)デートバイオレンス・ハラスメントの認知の男女差について、異性と交際中の未婚の男女を対象にして調査し、実際に被調査者が受けている各種バイオレンス、ハラスメント行為についての測定とそれをデートバイオレンスと捉えるかどうかについてのデータを収集した。その結果、予想通り、同じ程度のバイオレンス、ハラスメントが行われても、女性はそれをDVと捉えるのに対して、男性はそれをDVと捉えないことがあることが示された。また、この傾向は、行為の危険性の認知(生命に危険を感じたかどうかなど)とはあまり関係していないことが示された。さらに、DVの種類(身体的、性的など)によってこの男女差は異なることが示された。
2)第2調査では、一般的な認識、つまり自分がDVの被害者でない場合でもこのようなデートバイオレンス認知の性差バイアスが存在するのかについて調査した。具体的にはさまざまなデートバイオレンス・ハラスメントの記述を読ませて、それがDVにあたると思うかについて、各年齢層、各性別ごとに評定させた。その結果、自分が被害者となる第1調査と同様な結果が得られることが示された。ただし、年齢差などこの認知バイアスに影響を与える他の要因については分析中である。
3)第3調査では、DVの発生やその認知と関連する可能性があるグラスウィックのセルフコントロール尺度についてその妥当性や日常行動との関連について、探索的に検討を行った。その結果、ほかの研究、とくに社会的コントロール理論の実証研究で用いられているこの尺度は因子的な妥当性に問題があることがわかった。そのため、今後はDV予測や評価の研究においては、この尺度でなく他の種類のセルフコントロール尺度を用いるか独自の尺度を構成することが必要だということがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度はコロナのためにあまり研究が進展せず、質問紙調査を実施することはしたが、コロナ状況下という制限付きでの調査になってしまった。本年度はなるべく調査スケジュールを後ろにずらし、コロナ感染が落ち着いた時期に調査を行うことができた。そのため、遅れていた調査スケジュールを挽回することができた。また、昨年度の研究成果はコロナ状況下におけるDVの調査ということで、かえって価値あるデータとなったので、早急に論文化し、公刊することができた。この論文の存在は、社会心理学会などのHPでコロナ状況下における行動の文献としてリスト化され紹介された。

今後の研究の推進方策

当初のスケジュールに従い、本年は、3つのことを行う予定である。
1)実際のドメスティックバイオレンス・デートバイオレンス相談機関への調査やインタビュー調査などを踏まえて、今回の研究成果を社会的に実装する試みを行う。具体的にはDV認知についての男女差バイアスを広報する資料の作成やカウンセラーや相談員自身に対する教育プログラムを作成する。
2)ドメスティックバイオレンス・デートバイオレンスの性差認知を規定する要因を明らかにするために認知的なモデルを構築し、実証的に検証する。このプロセスにおいては、本研究プロジェクトの第4回目の質問紙調査をウェブで行う予定である。
3)論文および研究結果をひろく広報するための資料の作成と発表、学会発表、学術論文のみでなく、HPの作成や相談機関自体向け、相談者向けの広報資料を作成する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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