| 研究課題/領域番号 |
20K03425
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| 研究機関 | 東海学園大学 |
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研究代表者 |
角田 美華 (樋町美華) 東海学園大学, 心理学部, 准教授 (20550974)
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| 研究分担者 |
山川 香織 東海学園大学, 心理学部, 准教授 (00742131)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | ざ瘡 / 社交不安 / 主観的評価 / 客観的評価 / 心理的プログラム |
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| 研究実績の概要 |
本研究は，皮膚疾患の中で多くの人が経験するざ瘡に焦点をあて，ざ瘡を有する者の社交不安（Social Anxiety: SA）症状への心理教育プログラムを開発しその効果検討を行うことを目的としている。研究代表者のこれまでの研究結果から，ざ瘡を有する者の中には「主観的な不安への自覚が乏しいにも関わらず回避行動を強く示す」といった矛盾を感じさせる者の存在が明らかになっていることから，心理教育プログラムを開発しその効果検討を行う際には，この特徴を強く示す者に焦点をあてることとしている。
その中で，2021年度は1点目にざ瘡を有する者のSA症状である社交場面での恐怖と回避行動について主観的側面から検討することを目的としていた。具体的には，ざ瘡を有する大学生および社会人とそうでない大学生および社会人を対象にSA症状を社交場面における恐怖および回避行動，不安感受性，他者からの否定的／肯定的評価に対する恐れといった主観的評価について調査し明らかにすることを計画していた。また2点目として，ざ瘡を有する者のSA症状を表情認知の観点から客観的に明らかにするため，ざ瘡を有する大学生を対象に5つの表情刺激を用いた実験を実施することも目的としていた。
両目的が達成されることにより，多くの人が経験するからこそ軽視されがちなざ瘡を有する者が抱える心理的問題を社会へと発信することができるといった意義がある。同時に，わが国において不足しているざ瘡を有する者の心理的問題について，心と皮膚の専門家が考えるきっかけを与えることができるであろう。
上述したような意義があるため必ず結果を示すことが求められるが，2020年度および2021年度は新型コロナウイルス感染症が蔓延し，調査・実験を実施する機会を確保することが非常に困難であった。そのため，予定通りに研究成果を示すことができていない状況にある。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたように，2021年度までは新型コロナウイルス感染症が蔓延したことにより通常業務も円滑に進めることができない状況であったため，本研究は予定通りに進めることができていない。2022年からは，社会がwithコロナへと変化しつつあることから，少しずつではあるが研究代表者が置かれた業務環境および研究環境も感染症蔓延以前の様子を取り戻しつつある。そのため，2022年度はできる限り研究のための時間を設け，成果公表へとつなげることを予定している。現在は，調査開始のために必要な手続きについて最終確認している段階である。また，感染症が蔓延したことにより，マスク着用と社交不安の関連性といった研究成果が公表され始めている（例えば，宮崎・鎌谷・河原，2021）。このような研究結果は，他者から症状を確認することができるざ瘡を有する者の心理的問題にも関連しており申請者自身の研究につながるとも考えられることから，それらの見解についても理解を深めている状況である。より時代に即した研究結果を公表するため，最新の知見についてもふれながら研究開始の準備にあたっている。
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| 今後の研究の推進方策 |
2022年度は，昨年度までに終了させる予定であった研究計画の実施期間を変更し実施することを予定している。2021年度までは，ざ瘡を有する者の社交場面における恐怖および回避行動，不安感受性，他者からの否定的／肯定的評価に対する恐れといった対象者の主観的評価に関するデータを収集することを中心とし，それに加えてアイトラッキングを用いた視線追跡による表情刺激に対する反応といった客観的データを得るための実験を実施するといった2つの計画を予定していた。いずれの研究も実施が終了していないため，まずは2022年度の10月を目途に主観的評価に関するデータを収集し調査研究を終えることとする。その際，リサーチサービス企業に登録する者を対象とすることで，主たる対象者を変更する予定である。また，客観的データ収集に関わる対象者を確保するため，計画に記載した大学生も引き続き対象者とすることを予定している。
2022年10月までに収集し終えたデータ分析と同時進行で表情刺激に対する反応に関する実験を開始し，2022年末には当初予定であった心理教育プログラムの内容を決定し，時間が許す限りその効果の検証を行うこととする。可能であれば，研究期間延長の申請を行い，本研究の成果を公表したいと考えている。実験においては，withコロナの状況を受け入れつつも状況を考慮し，実験参加者数を50名（ざ瘡を有する者25名，ざ瘡を有さないも25名）から30名（ざ瘡を有する者15名，ざ瘡を有さないも15名）程度に変更することを予定している。ただし，実験の開始の基準は，研究代表者が所属する大学の活動指針レベルに対応させることとする。また現状では，心理教育プログラムの効果検証は，集団実施を予定しているが，状況によっては個別実施に変更し効果の検証を行うことも検討している。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
昨年度までは感染症蔓延のため思うように研究を進めることができなかった。そこで，2022年度は昨年度まで予定していた研究計画も合わせて実施することとしている。具体的には，①2021年度中に実施することを予定していた主観的評価データを収集するための研究期間を短縮し2022年の10月を目途に終え，収集し終えたデータ分析と同時に客観的評価データを収集するための実験を開始する。②実験のデータ収集および分析終了後ただちに心理教育プログラムの内容を決定し，そのプログラムの効果検証を開始する。上記2点の変更で研究の遅れ取り戻すことを予定している。そのため，助成金の使用としては，①は2021年度までに請求した助成金を使用し，②以降で2022年に請求している助成金の使用を始める。
①の調査期間の短縮は，対象者の割合を当初予定から変更することで可能となるため，大きな問題は生じないと予想している。また，対象者の割合は，大学生をに加えて社会人（外部企業を利用する）データを収集する予定であったが，社会人データを中心にするといった変更を予定している。②については研究期間に制限があるため，集団実施から個別実施への変更も視野に入れ時間が許す限り参加者のデータを収集することを予定している。獲得した助成金に対する責任として成果をきちんと公表すべきであるため，可能であれば研究期間延長の申請を行うことも視野に入れている。
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