研究課題
ハビットリバーサルの実際を示す動画を含む4部構成のインターネット教材の最終版が完成したので、慢性チック症の当事者に(18歳以下の場合には保護者にも)1ヶ月間以内に視聴してもらって、その前後で、チック、チックに伴う前駆衝動、チックについての理解、自尊感情、生活の質(QOL)などを評価した。UMIN-CTRに登録して、ウェイティングリスト・コントロール・デザインを用いて、教材視聴群及び対照群についてそれぞれ25名を目標人数とするRCTとして実施してきた。2024年3月31日時点で、教材視聴群及び対照群に割り振られた者は、それぞれ14名、13名であり、評価を終了した者は、両群共に13名であった。年齢及び性別については、教材視聴群は平均23.4歳(SD: 15.8)で男性12名、女性2名、対照群は平均19.1歳(SD: 13.2)で男性9名、女性4名であった。チックに関する評価のゴールドスタンダードであるYale Global Tic Severity Scale(YGTSS)によると、初回評価のチック症状得点及び社会機能の障害得点は、教材視聴群で平均19.5点(SD:6.7)及び平均23.2点(SD: 8.23)、対照群で平均26.5点(SD: 6.0)及び平均24.5点(SD: 10.6)であった。両群共に少なくとも20名以上になった時点で最終的なデータ解析を行って、効果の検証を本格的に行うこととした。なお、視聴後の感想が96件寄せられ、低年齢ではやや難しいとの意見が散見されたものの、参考になった、紹介された深呼吸やハビットリバーサルを実施してみたいなどの肯定的意見が多く、チックと上手に付き合っていけるように支援する上でこのインターネット教材が一定の役割を果たしていることが示唆された。
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小児科診療
巻: 86(春増刊) ページ: 843-845
小児内科
巻: 55(増刊) ページ: 868-872
精神医学
巻: 65(5) ページ: 760-764