研究課題/領域番号 |
20K03444
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
村松 健司 東京都立大学, 大学教育センター, 教授 (00457813)
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研究分担者 |
塩谷 隼平 東洋学園大学, 人間科学部, 教授 (00453481)
樋口 亜瑞佐 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10868607)
坪井 裕子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (40421268)
波多江 洋介 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (50526118)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 児童養護施設 / 高等教育 / 休・退学 |
研究実績の概要 |
問題と目的 本研究は、施設経験者の大学・短期大学を中心とした高等教育機関修学状況と施設経験者を送り出す施設が彼らの高等教育機関進学にあたって留意していることは何かを明らかにすることにより、先に実施した大学・短期大学への調査と比較検討することを目的とする。 方法 先行研究を参考に、高等教育機関進学における留意点に関する質問紙を作成し、事前に複数の施設関係者のチェックを受け、完成させた。回答者の負担を軽減するために、Google Formでの回答とした。調査対象者:全国の児童養護施設612ケ所(2020年3月末)の内、宛先が確認できた607施設の施設長に、調査への依頼を郵送した。2021年10月20日現在、116件の回答があった(回収率19.1%)。回答期限は2021年12月末としたため、今回は中間報告である。 結果 質問項目は、「全くそう思わない」から「大変そう思う」(文言は項目に沿うよう変更)までの5件法で回答を求めた。施設として高等教育機関への進学を薦めている割合は、薦めない割合(3.4%)よりも薦める割合が63.0%と圧倒的に高かった。ただ、進学する高等教育機関の社会的養護への理解を重視するかを質問した項目では、あまり重視しない割合が23.3%、重視する割合が35.3%とあまり差がない。次に、高等教育機関による社会的養護経験者への具体的支援で重視する内容を尋ねたところ、37.9%の施設が過去3年間の高等教育機関での休学・退学者が「いた」と回答した。休退学の理由は、休学では「心理的問題」「人間関係」が多く、退学の理由ではこれらに加えて「学習の問題」が多い傾向が見られた。 考察 施設経験者の大学生活では、学内のさまざまなネットワークに参加できるよう、大学関係者による心理的側面への、あるいは、対人関係上の積極的な介入が休退学を防ぐ要因になる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高等教育機関の回答率は20%ほどだったが、施設からの回答率は40%を超えた。新型コロナウィルス蔓延状況で施設へのインタビュー調査が順調に進むかまだ楽観はできないと考えらる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで大学と施設の調査が完了した。今後は、施設へのインタビュー調査を実施するとともに、優れた実践を行っている高等教育機関の事例収集を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査は経費削減のためweb調査にした。今年度から児童養護施設を訪問してのインタビュー調査が開始されることから、研究資金を繰り越した。
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