研究課題/領域番号 |
20K03444
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
村松 健司 東京都立大学, 大学教育センター, 教授 (00457813)
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研究分担者 |
塩谷 隼平 東洋学園大学, 人間科学部, 教授 (00453481)
樋口 亜瑞佐 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10868607)
坪井 裕子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (40421268)
波多江 洋介 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (50526118)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 児童養護施設 / 高等教育機関等進学 / 休退学 |
研究実績の概要 |
2022年度は施設から高等教育機関に進学する際の課題について、施設担当者へのインタビュー調査をおこなった。25施設から協力があり、過去5年間の施設入所児の進学状況についての個別データを得ることができた。高等教育機関に進学する施設入所児については、概ね進学目的が明確であると、施設スタッフの支援を得ながら学生生活を継続できるが、進学目的が「みんながそうするから」などあいまいな状況では、中退するケースが多いことが明らかとなった。進学の際、将来へのビジョンを明確にするために、施設入所児のキャリア教育が重要な課題と考えられるが、ほとんどの施設において、体系的な取り組みには至っていない。一方、地域のNPOなどと協力してキャリア形成支援に取り組んだり、地域の支援者の理解を得て職業体験をする機会をもつなど、興味深い実践に取り組んでいる施設もあった。この成果は今後明らかになっていくものと考えられる。 施設経験者が進学後に孤立しないよう、施設とのつながりを維持する仕組みはどの施設も重要視していた。措置延長ができるケースもあるが、積極的に措置延長を提案する児童相談所もあれば、まったく受け付けない児童相談所もあり、地域間格差が大きいことが示された。とくに、施設経験者が休学した場合、奨学金は支給されなくなってしまうという大きな問題があるが、その間も奨学金を切らずに手厚い支援をする自治体もあった。こういった多様な支援の在り方が収集できたため、全国の施設、行政の担当部局に調査結果を届けることが最終年度の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体の進捗は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、施設経験者の高等教育機関進学における諸課題をより詳細に把握することを目的として、当事者である施設経験者へのインタビュー調査を計画しているが、困難な場合は、退所後の支援をしている団体へのインタビュー調査に変更する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度にさらなるデータ収集が必要と考え、2022年度の支出を抑制した。最終年度は、データの解析と施設経験者の高等教育機関進学に関する当事者へのインタビューを予定している。
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