研究課題/領域番号 |
20K03447
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
松岡 紘史 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (50598092)
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研究分担者 |
豊福 明 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10258551)
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 舌痛症 / 破局的思考 / 就労・生活障害 |
研究実績の概要 |
本研究は,慢性疼痛患者の中でも痛みへの理解を他者から得にくく,自らの痛みを我慢しながら仕事や家事など日常生活に必要な活動をおくらなければならない舌痛症患者の就労・生活障害を改善する方法を破局的思考を糸口に検討・確立を目指すものである。本年度は,認知行動療法で焦点を当てられる要因である痛みについての破局的思考が舌痛症患者の労働状態に及ぼす影響を検討した。国際頭痛分類第3版に基づき舌痛症と診断された41名を対象とし,Pain Catastrophizing Scale(PCS)および下位尺度(反すう,無力感,拡大視),Oral Health Impact Profile(OHIP)の労働状態に関する項目,Brief Pain Inventory(BPI)の痛みの重症度,Stress Response Scale-18(SRS-18)を用いた調査を行った。本研究の結果,PCSとその下位尺度は労働状態との間に有意な正の相関がみられた(PCS:r=0.62,反すう:r=0.60,無力感:r=0.57,拡大視:r=0.50,すべてp<0.01)。BPIの痛みの重症度およびSRS-18を統制し,労働状態に対する重回帰分析を行った結果,PCSは他の要因の影響を統制しても有意に労働状態と関連し(β=0.32, p<0.05),破局的な解釈をしているほど労働が制限されていることが示された。反すう,無力感,拡大視のPCSの下位尺度を用いて同様の分析を行った結果,反すうがもっとも労働状態と関連することが明らかになった(β=0.34, p<0.05)。本研究の結果,痛みに対する破局的思考,特に反すうが労働状態と関連しており,破局的思考を改善することで労働状態が改善される可能性が示唆された。次年度は,労働障害を測定する項目をより広範に評価し,破局的思考の影響を詳細に検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌痛症の就労に関する状態に,破局的思考が及ぼす影響を検討することができたため,順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
舌痛症の就労状態に関して,より幅広い見地から測定を行い,痛みに対する破局的思考が舌痛症のどのような側面に影響するかを検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:コロナウイルスの感染状況もあり,予定よりも少し調査人数が少なく,次年度も継続して,調査を行うため。 使用計画:翌年分請求額と併せて,研究実施に関わる経費および成果発表費として使用する。
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