研究課題
本研究は,慢性疼痛患者の中でも痛みへの理解を他者から得にくく,自らの痛みを我慢しながら仕事や家事など日常生活に必要な活動をおくらなければならない舌痛症患者の就労・生活障害を改善する方法を破局的思考を糸口に検討・確立を目指すものである。本年度は舌痛症の就労状態に対する破局的思考患者のうち,就労の有無での就労状態に関して,より幅広い見地から測定を行い,痛みに対する破局的思考が舌痛症のどのような側面に影響するかを検討した。国際頭痛分類第3版に基づき舌痛症と診断された60名を対象とし,Pain Catastrophizing Scale(PCS),work functioning impairment scale(Wfun),Brief Pain Inventory(BPI)の痛みの重症度,Profile of Mood State-2短縮版(POMS:Heuchert他,2015)を用いた調査を行った。就業者を対象に分析を行った結果,痛みによる生活障害との相関では,破局的思考とPOMSだけでなく,痛みの重症度との間でも有意な相関関係が認められた。以上のことから,痛みに関連した生活上の障害については,痛みの重症度を含めた幅広い変数による影響が認められた。一方で,痛みに限局しない労働障害については,痛みの重症度の影響は認められず,認知的要因や感情的要因の影響が強いことが示唆された。舌痛症で生じている労働障害に対しては,破局的思考および気分状態への介入が重要であると考えられる。これまでの調査研究から破局的思考や感情状態を改善させることによって労働障害を改善させられることが示唆されたが,実際に破局的思考を改善させるプログラムによって舌痛症患者の労働障害が改善することが観察された。
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Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
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Clinical Oral Investigations
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