研究課題/領域番号 |
20K03455
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
奥野 雅子 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (60565422)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スピリチュアルケア / 心理臨床家 / 仏教 |
研究実績の概要 |
スピリチュアルケアとは、生きる意味や目的について苦悩している人々に対するケアである。本研究では、宗教の中で特に仏教に着目し、スピリチュアルケアにおいて心理臨床家と仏教者の支援に対する役割について、その重なりと差異について明確にすることをふまえ、心理臨床家と仏教者の連携可能性についても検討することを目的としている。 心理臨床家は終末期や緩和ケアの現場で支援を行っているため、生きる意味や目的に対するケアである「スピリチュアルケア」に着目する必要がある。これまで、スピリチュアルケアは宗教家が行うこととされてきた経緯があり、さらに、心理の知識とトレーニングを積んだ臨床宗教師という資格が認定され、宗教の布教ではなく公的な場所において宗教者による支援も行われるようになっている。しかし、実際の病院臨床では、心理臨床家がスピリチュアルケア担当していることが多く、医師や看護師などの他の専門家との連携を行っている。よって、心理臨床家の立場から、スピリチュアルケアの実践をシステミックな視点から理論的な検討を行い、学会発表と論文執筆を行った。そこでは、スピリチュアルケアにおける心理臨床家のアイデンティティや多職種連携のあり方について提言することができた。 さらに、心理臨床家によるスピリチュアルケアの実践についての試案を、心理学と宗教の両側面から理論的に検討を行い学会発表と論文執筆を行った。そこでは、スピリチュアルケアにおける心理臨床家の貢献可能性について、3つの視点を提示することができた。一つ目は、患者をめぐる「関係性」に介入すること、二つ目は、構成概念の理解を宗教的立場から深化させること、三つ目は、「より以上のもの」に対して心理学的なアプローチができることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスの感染拡大を予防するため、インタビュー調査を自粛した。そこで、文献研究を中心に進め、心理臨床家や宗教学の研究者と情報交換を通して議論を行った。その成果を、オンラインの学会でシンポジウムを企画し開催することができた。それに伴い、論文執筆も行った。 また、筆者単独の文献研究の成果を学会発表し、論文執筆を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、なるべく対面でのインタビューを遂行する予定ではあるが、オンラインに切り替えて実施することを念頭に置いている。コロナウイルスの感染状況が緩和されれば、できれば対面で実施したい。 また、インターネット調査会社に依頼し、宗教者100名を対象に死生観に関する質問紙調査を行う予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で海外出張に行けなかったこと、そして、対面でのインタビュー調査が困難になったことでデータを取得する研究計画が進められなかった。 今後は、オンラインでのインタビュー調査に切り替える予定である。 また、業者に委託し、インターネット調査を行う予定でいる。
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