研究課題/領域番号 |
20K03458
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
水上 喜美子 金沢大学, 医学系, 助教 (00387408)
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研究分担者 |
高橋 哲也 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 協力研究員 (00377459)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | せん妄 / 高齢者 / 精神科リエゾンチーム |
研究実績の概要 |
精神科リエゾンチームは、一般医療と精神医療の連携という理念をもとに、多職種で実践されるチーム医療の一つである。金沢大学附属病院では、2018年度からリエゾンチームを立ち上げ、身体科において精神症状を有する患者の相談に応じてきた。これまでのリエゾンチームの活動について検討することを目的に、後方視的に分析した結果、身体科から、リエゾンチームの必要性とニーズが高まってきており、不眠やせん妄、不安などの症状に対応するための依頼が多いことが示された。また、大学病院という特殊性から、移植前の患者や精神疾患を有する患者の術前・術後の精神症状の評価などの役割も担っていることが明らかになった。 次に、「せん妄」に着目し、初回介入時点でせん妄(疑い)と診断された事例を検討した。さらに、各病棟の看護師が把握していたせん妄の患者数と比較し、せん妄ケアのあり方について考察した。この結果、せん妄の対応・鑑別のためにリエゾンチームに依頼された事例は95例で、精神科診断でせん妄もしくはせん妄疑いとされたのは112例(34.14%)であった。つまり、一般病棟医は、不穏や興奮、抑うつなどの症状や精神疾患の治療を受けている患者の場合には、せん妄の判断がしにくいことが示された。また、看護部に報告されたせん妄の患者の中で、リエゾンチームに依頼があった患者は8.1%にすぎなかった。すなわち、せん妄は、早期発見と対処により悪化を予防することができるため、スタッフに対する教育を十分に行うことが必要だと考えられた。今後、せん妄ハイリスク患者を早期に同定し、事前に予防対策を提案していくことが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度も、新型コロナウイルス感染症の対策がとられ、入院中の患者さんへの関わりが難しく、病院内では、家族の面会が禁止されていたため、計画通りに進行することが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、せん妄の患者を抽出することまでしか進めることができなかった。現在、せん妄のリスク因子の分類をしており、今後、データ化して、分析をしていく予定である。 同時に、リエゾンチームのメンバーで、院内のせん妄予防に向けた活動として、パンフレットの作成や講演会の開催を計画しており、今年度、実施する予定である。 次に、せん妄と診断を受けた患者の中で、脳波測定を実施していた人の脳波解析についても、せん妄に関連する神経ネットワーク機能を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響も受け、研究計画通り、研究を遂行することが難しかったため。
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