研究課題/領域番号 |
20K03474
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 桜子 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (80545004)
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研究分担者 |
佐々木 ひと美 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00319261)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 習慣行動変容 / 尿失禁 / 行動療法 / セルフケア支援 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
尿失禁の症状軽減には、行動療法による治療が効果的な介入として推奨されている。本研究では、症状軽減に寄与するとされる推奨行動を、外来患者が日常生活の中で自律的に実践していくことを支援することを目的に、行動科学に基づく簡便な支援法を開発した。そして泌尿器科における通常の外来治療に加えることによるセルフケア行動の促進効果と心身の症状改善効果を検討することを目的に介入研究を実施した。 2023年度は、引き続き尿失禁症状を主訴とする外来患者を対象として、本研究で開発した外来診療で簡便に実施できる行動療法によるセルフケア実践支援法を用いたランダム化比較試験(RCT)を実施し、その介入効果を検討するためのデータ収集を行った。 具体的には、研究計画に基づき、本大学病院泌尿器科外来を受診中の女性尿失禁患者のうち、骨盤底筋訓練や習慣行動の改善などにより症状の軽減が期待できると主治医が判断した患者で研究参加同意の得られた者に対し、1年にわたる縦断的な質問紙調査と体組成測定を行った。また、RED-Capシステムを用いて研究参加者を無作為に介入群または非介入群(対象群)に1:1で割り付け、介入群には行動療法によるセルフケア実践支援のための個別面談を2回加えた。面談では、質問紙調査と体組成測定の結果に基づき、日常生活の中で実践可能な訓練や習慣行動の具体的な目標設定と行動実施のためのアドバイスを行い、セルフモニタリングによる行動実施支援を提供した。現在は、両群における習慣行動やモチベーション、体組成や心身症状の経時的変化を観察し、統計分析による比較検討を実施するためのデータを集積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は、引き続きコロナ禍の影響を受け、感染拡大防止の観点から参加者のリクルートに慎重を期した。本研究の対象者は、尿失禁症状改善のため泌尿器科外来を受診中の女性患者のうち、行動療法的なセルフケア行動の実践が尿失禁症状の改善に役立つと主治医が判断する者であるが、対象となる患者の多くが高齢者である。したがって、参加者の安全と安心の担保に配慮しつつ、慎重に参加者のリクルートと継続的な調査・介入を実施したため、参加者の確保が十分にできず、調査データの収集が計画よりも遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は前年度に引き続き、開発した調査紙バッテリーとセルフケア行動の実践支援法を用いた調査と介入を進める。これにより集積するデータを統計的に比較分析し、継時的変化と群間差について分析・評価していくことにより、開発した支援法による介入効果を検討していく予定である。また、個人内での経時的変化についても事例的に検討し、より効果的なテーラーメイド介入の方法についても検討し、関連学会にて結果を報告していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス蔓延防止施策のため、国内外における学会や会議でハイブリッド形式(オンライン対応)で開催が継続されたものがあり、旅費が抑えられたため。また今年度は、効果検討に十分なサンプルが確保できず、学会発表や論文作成を見送らざるを得なかったが、次年度は、継続的なデータ収集を実施し、集積されたデータ処理や学会発表、論文作成等に必要となる書籍や物品購入を行う計画である。
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