研究課題/領域番号 |
20K03475
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
廣川 空美 梅花女子大学, 看護保健学部, 教授 (50324299)
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研究分担者 |
権藤 恭之 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40250196)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 文化的価値 / 高齢者 / 幸福感 / 抑うつ感 |
研究実績の概要 |
2021年度はアメリカと日本において、文化的指標の1つである「不確実性の回避」の尺度を開発し、インターネット調査を実施した。因子構造を確認し、国際比較ができる12項目を抽出した。現在、アメリカと日本において、高齢者の「不確実性の回避」と幸福感、抑うつ感との関連について分析を行っている。 SHAREデータ、HERSデータ、JSTARデータから、国別に高齢者の年代別、男女別に幸福感、抑うつ感を比較し、文化的価値との関連を検証している。 地域における高齢者の幸福感を高めるための取組を考案するにあたり、地域で取り組まれている事例を収集した。特に、地域における看護師、保健師、栄養士などの有資格者がリーダーとなって、高齢者の見守りを行っている事例が複数報告されていた。今後は地域活動の事例をさらに収集し、活動が盛んな地域の経済的指標や、文化的指標との関連について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
公開されているHarmonizedデータについて、データの内容を確認するためにかなりの時間を要した。検討した結果、国の文化的価値と幸福感や抑うつ感との関連を検証するためには、ヨーロッパの国々に限定したSHAREデータを用いることが妥当であると判断するに至った。 「不確実性の回避」尺度を開発し、アメリカと日本において調査を実施することができたが、その分析がまだ進められていない。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、SHAREのHarmonizedデータと国の文化的価値指標を連結し、幸福感や抑うつ感との関連について分析を行う予定である。 「不確実性の回避」尺度について、妥当性・信頼性の検討を行い、アメリカと日本の高齢者において、心身の健康や幸福感との関連について分析を行う予定である。幸福感と関連するとされているホルモンを、唾液中から測定することを計画していたが、コロナ禍によって唾液検体の採取ができていない。血液や尿中のホルモンの測定に変更する等、検討中である。 幸福感の高い地域と低い地域における文化的指標の違いや、経済的要因、医療・介護・福祉的な政策、地域における取組みについての違いをまとめる予定である。高齢者の幸福感を高めている要因を抽出し、幸福感を高めるための地域活動プログラムを考案することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により、調査の実施が困難となり、研究計画が予定よりも遅れている。その為、研究計画と使用計画の大幅な変更が生じている。特に、幸福感の指標として測定する予定であった唾液中ホルモンの採取について、全く採取することができていない。唾液検体ではなく、血液もしくは尿検体から採取するなど、変更することも検討している。 2022年度は、SHAREデータのHarmonizedデータを用いて、文化的価値と高齢者の幸福感や抑うつ感との関連について分析を行う。さらに、アメリカと日本における「不確実性の回避」と幸福感、抑うつ感についての分析を行う。また、地域の高齢者の幸福感を高めるような取り組み事例について情報を収集する。これらの結果を踏まえて、2023年度まで研究を延長し、高齢者を対象にした文化的価値と幸福感や抑うつ感との関連性について、地域差を検証する。さらに、高齢者の幸福感を高めるような地域の公衆衛生的活動にいてプログラムを考案する。
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