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2022 年度 実施状況報告書

視覚イメージおよび視知覚処理を抑制する機能とその脳内機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K03477
研究機関茨城大学

研究代表者

本山 宏希  茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (30555230)

研究分担者 川端 康弘  北海道大学, 文学研究院, 教授 (30260392)
成本 忠正  東京福祉大学, 心理学部, 准教授 (60434560)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード視覚イメージ / 視知覚処理 / 色情報処理 / 語彙性判断課題 / イメージ時間
研究実績の概要

本研究では,イメージ想起中に視知覚処理を抑制する機能,またその逆のイメージ生成を抑制する機能について検証する。本年度は(1)視覚イメージ想起中に視知覚情報の処理が低下するか否かを検証する行動実験,および(2)視覚イメージ刺激の作成を行った。
(1)では,イメージ想起中に視知覚処理を要する課題を行わせ,それが単に視知覚処理課題を行う場合,あるいは画像を観察中に行う場合の課題成績と比較した。イメージ想起中に視知覚処理が抑制されるなら,イメージ想起中はその他の条件より成績が低下すると考えた。しかし,予想とは逆に,イメージ想起中に視知覚処理課題の成績が向上することが一昨年度の実験から示唆された。その実験では,参加者が鮮明なイメージを生成できるようにイメージ生成時間を平均6秒間と長く設定していた。イメージ時間が長かったため,イメージによって想起された視知覚情報処理が視知覚処理課題実行時にはすでに終わっており,両者間に競合が生じなかったのかもしれない。そこで,昨年度は,イメージ形成時間を平均4秒間,2秒間とした2つの実験を実施した。その結果,どちらの実験でも,イメージ想起により視知覚情報処理が抑制されることを示す実験結果は得られなかった。
(2)については,感情的に快,中性,不快なイメージを想起したときに,各感情の種類によってイメージ内容ができるだけ変化しない感情語の作成を試みた。不快イメージの想起中にイメージ想起が抑制されることが示唆されており,作成した感情刺激は,今後イメージの抑制を扱う研究の刺激として,あるいはその他の感情に関連する研究の刺激として,使用することができよう。昨年度は,作成した感情語の呈示により感情が喚起されるか否かを検討する行動実験,および,感情の種類によってイメージ内容の変化が少ないことを示す調査を行った。後者の調査結果を,日本イメージ心理学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

まず,コロナ禍の影響により,研究開始から1年半程度,学生と対面することができなかった。そのため,実験の実施ができなかった。また,一昨年度,昨年度と複数の実験を実施しているが,当初想定していた視覚イメージ想起中に視知覚処理が抑制されるという心理現象が生じる条件をまだ特定できていない。

今後の研究の推進方策

今年度は,(1)イメージ生成中に視知覚情報処理が低下するか否かを検討する行動実験と(2)イメージ生成中に視知覚情報処理を抑制する機能を担う脳部位を特定するfMRI実験,さらには(3)視覚イメージ刺激の作成を行う予定である。
(1)については,昨年度まで実施していた実験手続きを修正した実験を行う。昨年度までは,イメージ想起中・画像を観察しながら・単に視知覚処理課題を行うという3つの条件下で,視知覚処理課題を実施する実験を行ってきた。イメージ想起中に視知覚処理が抑制されるなら,イメージ想起中はその他の条件と比較して視知覚処理課題の成績が低下すると考えられる。ただし,画像観察直後に視知覚処理を要する課題を行う場合,直前の画像観察が直後の視知覚処理に干渉してしまうが,イメージ想起中は直後の視知覚処理課題に干渉する画像(視知覚処理)が提示されていないため,そういった干渉は生じない。そこで,3つの条件全てにおいて,視知覚処理課題直前にランダムドット画像を瞬間呈示し,その後に視知覚処理課題を行わせていた。ただし,そのランダムドットの挿入がイメージ想起中の視知覚処理の抑制も妨害してしまった可能性がある。そこで,本年度はランダムドットの挿入をなくした実験を行う。それにより,画像観察条件において,その後の視知覚処理を要する課題の成績は低下するかもしれないが,イメージ想起中も同じようにその課題成績が低下するのであれば,イメージ想起中に視知覚処理が抑制されていることを示すことになると考えた。上記の実験結果が得られれば,イメージ想起により視知覚処理が抑制されることを示唆する結果といえる。(2)は,上記の結果が得られた後に,実施する。
(3)の視覚イメージ作成については,すでに調査・実験は終わっているので,本年度中に論文化する予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年度は,(1)イメージ生成中に視知覚情報処理が低下するか否かを検討する行動実験と(2)イメージ生成中に視知覚情報処理を抑制する機能を担う脳部位を特定するfMRI実験を行う予定であり,その計画で生じる支出を計上していた。ただし,昨年度の研究成果の概要で述べたように(1)について予想通りの結果が得られておらず,現在もその実験を行っている。すなわち,(2)のfMRI実験実施で必要となる支出が生じなかったため,当初の計画より予算が余っている。来年度以降にfMRI実験を実施するときに残りの予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] イメージ内容変化を伴わない感情刺激作成の試みⅡー感情価の違いがもたらすイメージ内容変化の検証ー2022

    • 著者名/発表者名
      本山宏希・宮崎拓弥・菱谷晋介
    • 学会等名
      日本イメージ心理学会第23回大会

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公開日: 2023-12-25  

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