研究課題/領域番号 |
20K03479
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
錢 昆 九州大学, アジア・オセアニア研究教育機構, 准教授 (60736354)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 文化心理学 / 認知心理学 / 文化間比較 / 異文化 / フィールド実験 / フィールドワーク / 錯視 / 錯覚 |
研究実績の概要 |
本研究は,海外でのフィールド実験を通じて錯視現象の文化間比較を目的としている。今年度は本研究の4年間計画の3年目となるが,2020年度および2021年度は新型コロナウイルスの世界的流行の影響を受け,海外でのフィールド実験が中止となったが,今年度は予定していた調査地の一つであるタイに初めて調査を実施した。2022年8月28日から9月4日までの間にタイ出張を行い,前半の日程ではカセサート大学,モンクット王工科大学トンブリー校を訪問し,共同研究者と研究打ち合わせを行った。後半はチャチューンサオ県,チョンブリー県の調査サイトを訪問し,予備実験および本実験のための準備を実施し,現地コーディネーターやサポーターとの打ち合わせも行い,今後のタイでの実験と共同研究のための体制を整えた。 また,今年度は異動に伴い,九州大学での実験室を再整備した上,日本での実験室実験を順調に実施した。5月から7月の間に幾何学錯視について50名以上のデータを収集し, 10月から11月の間に変形錯視と顔認知における錯視について30名程度のデータを集めた。収集したデータは2023年度中に論文と学会発表で公表する。 一方で,昨年度実施した実験室実験の成果を取りまとめ,2022年7月に「Examining the impact of human face stimulus on shape-contrast effects during a brief presentation」とのタイトルで査読誌Brain Sciencesに掲載された。学術的成果公表のみならず,錯視について小学生や一般社会へのアウトリーチ活動も積極的に実施し,8回以上の公開講座を実施した。 上記のように,フィールド実験という研究手法は過去2年間のコロナ禍によって実施が大幅制限されたが,今年度は各方面での実験と研究が再開できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように,新型コロナウイルス感染症流行の影響が想定以上に長引き,これまで2年度は国内実験室実験とフィールド実験の前倒し実施など,様々な方策を講じて進捗遅れを回避し,当初の計画以上の進展を果たしたが,今年度は過去2年度のマイナスな影響が累積し,進捗を遅らせた。一方で,今年度はコロナ禍3年目となり,海外への渡航はようやく実施実施可能となり,いち早くタイへ渡航し,予備実験を行い,3年間停滞していた共同研究ネットワークを活かし,研究計画の復帰を努めた。日本での実験室実験は異動に影響されずに順調に実施し,査読付き論文の成果も予定通りに出たため,現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」とする。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究計画の最終年度であるため,以下3つの方針で研究を推進する。 ①日本での実験室実験,フィールド実験,オンライン実験を計画通りに実施し,査読付き論文2報の成果を確実に出す。 ②タイでの調査を2023年6月に実施し,フィンランドでの調査も再開する。一方で,当初計画していた期間内で研究を完成させることを優先にし,予定していたケニアでの調査を取りやめる。この研究計画の変更の対応策としては,ケニアでのフィールド実験を後述の次期研究計画の一部とする。 ③予定通りに今年度に本研究を終了し,本研究の成果と経験を踏まえ,構築してきた共同研究ネットワークを活かし,次期計画として科研費基盤研究(B)を提案する。基盤(B)ではこれまでのタイ・フィンランド・日本での研究を継続し,ケニアでのフィールド実験も実現させ,さらに中国やベトナムなどの新しい調査地を追加する。また,本研究の一人での研究体制から複数研究者での共同研究チームに発展し,多文化状況での錯視研究の可能性を広げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
タイ出張旅費の日当減額などにより少額(2万円程度)の次年度使用額が発生した。翌年度の海外調査に利用する予定である。
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