研究課題/領域番号 |
20K03480
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
松田 いづみ 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (80356162)
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研究分担者 |
入戸野 宏 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20304371)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 接近-回避 / 隠蔽 / 葛藤 / 潜在連合テスト / 心拍数 / 呼吸 |
研究実績の概要 |
潜在連合テストの一種であるマネキン課題では,人形を刺激に近づける方向に動かす試行と離れる方向に動かす試行で得られる反応時間の差を,接近-回避傾向の指標とする。しかし,「嫌だけど気になる」といったように回避傾向と接近傾向が同時に高まる葛藤状態も存在する。本研究では,葛藤状態を検出できる行動・生理指標を同定することを目的とする。 今年度は,犯罪に関する葛藤状態について,マネキン課題を実施した。犯罪場面では,犯人は露見を恐れて事件に関連した項目を避けるが,同時に関心も持っていると考えられる。31名の大学生が模擬窃盗を行ったのちにマネキン課題を受けた。各参加者に対し,窃盗品を隠して課題を受ける条件(隠蔽条件),窃盗品を開示してから課題を受ける条件(開示条件),窃盗品が提示されない条件(無実条件)を実施した。 開示条件では窃盗品にマネキンを近づける時間がはやくなり,遠ざける時間が遅くなったが,隠蔽条件ではそれらの傾向はみられなかった。窃盗品は接近傾向を喚起するが,それを隠すことで回避傾向も生じ,葛藤状態が生じていることが示唆された。 葛藤状態を検出できる生理指標を探るため,マネキン課題中の心拍数・皮膚コンダクタンス水準・呼吸率を測定した。いずれの指標も,3つの条件間で有意な違いはみられなかった。しかし,隠蔽・無実条件間では呼吸率が異なる傾向にあった。葛藤が生じていると呼吸が抑制されるのかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で,対面実験が途中で中断してしまい,取得を予定していた参加者数(36~40名)を達成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
犯罪場面以外を想定した実験を実施する。その際,自律神経系反応だけではなく脳波も測定することを検討する。また,接近・回避傾向の影響を受ける時間知覚を利用した実験も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で,予定していた出張や対面実験がキャンセルになったため。
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