研究課題/領域番号 |
20K03480
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
松田 いづみ 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (80356162)
|
研究分担者 |
入戸野 宏 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20304371)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 接近-回避 / 隠蔽 / 葛藤 / 隠匿情報検査 / オンライン実験 |
研究実績の概要 |
対象に近づきたいと思う(接近傾向が強まる)ときは時間を短く感じ,遠ざかりたいと思う(回避傾向が強まる)ときは長く感じる。この知見を利用して,今年度の研究では,「隠す」ときに時間の長さをどのように感じるのかを,オンライン実験により調べた。 実験には200名超の参加者が参加した。まず,特定の写真について記憶させ,実験中は隠してもらった。そのうえで,さまざまな写真が提示される時間の長さを,基準の提示時間として記憶してもらった。基準の提示時間の長さは,0.5秒, 1秒, 2秒のいずれかであった。基準の提示時間が正しく記憶されたかテストしたのち,隠している写真・それ以外の写真を,0.5秒,1秒,2秒のいずれかでくり返し提示した。それらの写真の提示時間が,基準の提示時間に比べ,「長い」「短い」「同じ」かを判断させた。 対面実験では,隠している情報に関する写真に対しては,それ以外の情報に関する写真よりも「長い」と判断される確率が高い,という結果が得られていたが,オンライン実験では違いがみられなかった。隠すときには回避傾向が高まると考えられるが,オンラインでは隠す相手が意識できないため,回避傾向が高まらず,時間知覚に影響がみられなかったと考えられる。また,隠すことを求めた情報は,主観的には快と評価されることがわかった。隠している情報は,「自分だけが知っている情報」としてほかよりも高く評価する,保有効果が生じることが示唆された。これらの知見をまとめ,国際誌で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で予定していた対面実験が行えなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでは,「自己関連情報の隠蔽」という状況を扱ってきた。今年度は,隠蔽のほかに,接近傾向と回避傾向が同時に高まる可能性のある状況を設定し,潜在連合テストを行う。接近傾向と回避傾向を別々に評価する方法を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で予定していた対面実験ができず,また,参加を予定していた国際学会がオンライン開催になったため,次年度使用額が生じた。次年度は,対面実験を行うため,必要な機器や消耗品を購入する。状況が許せば対面の国内学会にも積極的に参加して発表する予定である。
|