研究課題/領域番号 |
20K03487
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研究機関 | 大阪樟蔭女子大学 |
研究代表者 |
松下 戦具 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 准教授 (00528367)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 人工肌 / 視知覚 |
研究実績の概要 |
当該年度は十分な実験参加者数を確保できなかったため,予備的実験により,物体に対する「肌らしさ」の知覚要因が検討された。まず,肌の動画像を利用し,そこに含まれる動的情報の効果を検討した。この実験では,静止した画像と明滅する画像とが比較され,それらに知覚される肌らしさや生物らしさが評定された。その結果,動的情報は少なくとも生物らしさには影響していることが示唆された。しかしながらここで操作された明るさの強度は実際の肌での変化よりも大きな変化であり,より微妙な明度変化や色変化による知覚への効果を知るためには,さらなる検証を行う必要がある。 また肌の静的な特性が肌らしさの知覚に及ぼす影響も予備的に検討された。同時に,人工皮膚に動的情報を加えて提示する実験方法の開発も行われた。これらの検討では,シリコン等の様々な材質で人工肌が作成され,テクスチャ,色の効果などが観察された。その結果,色とテクスチャ両方とも肌らしさの知覚に影響していた。さらに,物体がある程度透明性を帯びている場合に,より強く肌らしさや生物らしさが知覚されることが示唆された。この透明性は,肌内部の色変化の知覚に関連するものと予想される。 当該年度は実験を行うことが難しい状況が続き(COVID-19),また学会が中止になることもあり,外部への公式な発表(学会発表,論文など)には至らなかった。しかしながら,今後の研究につながる有用な知見が多く蓄積された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の進捗はCOVID-19により遅れ気味である。研究費の交付が例年より遅れたことや,研究施設の使用困難であったことなども理由であるが,十分な実験参加者を集められなかったことが主な理由である。しかしながら,複数の実験計画のうち実行可能な部分だけを並行して進めることで,研究が停止することは回避できている。
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今後の研究の推進方策 |
この状況はもうしばらく続きそうであるため,少ない参加者数でも有意な知見を示せる実験デザインを考え直し,今後の研究を進める計画である。(本研究は明るさ等が統制された動画で実験されねばならないため,オンライン実験で対応することは難しい。)また,前年度同様,複数の実験のうち実行可能な作業を並行して進めてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度ではいくつかの出張(海外含む)が計画されていたが,COVID-19の影響で差し控えられることとなり,その差額が次年度使用となった。次年度において旅行が可能になっていればこれを計画通りに旅費として使用する。しかし,もし次年度においても出張が不可能な状態が続いていれば,さらに次の年度に持ち越すか,オープンアクセスジャーナルへの掲載料として使用するなど,臨機応変に対応する。
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