研究課題/領域番号 |
20K03488
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研究機関 | 公益財団法人国際科学振興財団 |
研究代表者 |
堀 美代 公益財団法人国際科学振興財団, その他部局等, 専任研究員 (90399329)
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研究分担者 |
村上 和雄 公益財団法人国際科学振興財団, その他部局等, 主席研究員 (70110517) [辞退]
山田 一夫 筑波大学, 人間系, 教授 (30282312)
大西 淳之 東京家政大学, 家政学部, 教授 (40261276)
一谷 幸男 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (80176289)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 快情動 / ストレス脆弱性 / レジリエンス / 向社会性 / 50kHz超音波 / 物体再認課題 |
研究実績の概要 |
未発達の脳はストレスに対して脆弱で、脳の正常な発達には、成体になるまでの良好な環境が不可欠である。そのため、他者との相互作用からもたらされる適切な情動の喚起も重要であると考えられる。本研究の目的は,幼若期ラットにおけるストレス脆弱性の発症機序と快情動による修復機序(ストレスレジリエンス)の脳内メカニズムを明らかにすることである。具体的には、仔ラットの遊びモデルであるTickling刺激により喚起される快情動がもたらすストレス耐性効果を、報酬系と扁桃体との相関・因果関係に着目し、分子生物学的、行動学手法を用いて多角的に解析し、ストレスに対する快情動のリセット効果を検証している。幼少期の快情動は、50kHz高周波音声にて確認した。 Fisher系仔ラットを離乳後から集団飼育群,隔離飼育群,快情動喚起群に分け,離乳直後に一過性のストレスを与え,その後成体になるまで各群の条件にて飼育する。成体期には,Tickling刺激は与えず,行動解析,遺伝子発現解析を実施する。本年度は、下記Ⅰ)~Ⅳ)の実験を実施した。 Ⅰ) オープンフィールドを用いた新奇性、活動性への影響。Ⅱ) 個体間の社会相互作用に及ぼす影響:成体期に,各群のラットと,集団飼育で飼育された新奇のラット(体重差のない)を観察ボックスに一定時間放置し,音声および2個体間の相互作用としての行動指標を測定し評価した。Ⅲ)社会的・非社会的記憶能力に及ぼす影響:2種類の自発的再認課題(物体再認課題とそれを応用した社会的再認課題)を成体期に行った。自発的物体再認課題は,ラットが既知の物体よりも新奇な物体の方をより長く探索する傾向を用いて,ラットの物体記憶を評価する課題である。Ⅳ)恐怖条件付けに及ぼす影響。現在、上記行動実験の解析と追加実験を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年は、コロナ禍という社会情勢から動物実験が制限されたため、解析に必要なN数が実施できなかった。しかし、本年度に計画した実験:Ⅰ) オープンフィールドを用いた新奇性、活動性への影響、Ⅱ) 個体間の社会相互作用に及ぼす影響、Ⅲ)社会的・非社会的記憶能力に及ぼす影響、Ⅳ)恐怖条件付けに及ぼす影響、は順調に実施できた。また、2022年度実施予定である報酬系と扁桃体の脳の遺伝子発現解析の予備実験も実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2021年度に引き続き、行動学的な実験の追加実験を行い、幼少期のストレス時脆弱性に対する快情動の効果を行動解析によって解析する。さらに、幼少期の快情動がもたらすストレス耐性のメカニズムの解明を行動解析と脳の応答という側面から検証するために、行動解析実施時期に採血と糞の採取,扁桃体の採取を行い、これまでの研究で見いだされた扁桃体の遺伝子発現解析およびエピジェネティクス解析、ストレス応答の指標として、ストレスホルモン等の測定、腸内細菌叢の解析を行う。このことによりストレス応答に関連する脳-腸連関系への快情動の効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、離乳後のストレス負荷により発症する成体期のストレス脆弱性の発症機序と発症した脆弱性に対して,幼少期の快情動の喚起がもたらす修復機序,すなわちストレスレジリエンス獲得の神経メカニズムを解明するために、Ⅰ)個体間の社会相互作用に及ぼす影響、および、Ⅱ)社会的および非社会的記憶能力に及ぼす影響に関する動物実験を実施する予定にしていたが、コロナ禍という社会情勢から動物実験が制限されたために、実験計画とおり実施ができなったため。
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