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2022 年度 実績報告書

3つの神経伝達系の非侵襲的同時測定法を用いた統合失調症の認知機能障害の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K03490
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

白間 綾  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 室長 (50738127)

研究分担者 住吉 太幹  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 部長 (80286062)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード統合失調症 / 認知機能障害 / 瞳孔計測
研究実績の概要

統合失調症における認知機能障害は,患者の生活能力や機能的転帰に対して強い影響力をもち,当事者の社会参加を阻む大きな障害となっている。従来の研究では,統合失調症はドーパミン過剰状態の表れであるとされてきたが,ドーパミン系に作用する抗精神病薬だけでは統合失調症の認知機能障害を十分に改善できないことから,非ドーパミン系の寄与を含めた理解が必要であると考えられている。本研究では,神経生理学的なデータに基づき,統合失調症の認知機能障害と神経伝達系の関連を検討するため,瞳孔径と網膜電図の測定を行った。従来から,瞳孔径は覚醒と注意に関連する青斑核ノルアドレナリン系の活動を反映すると考えられている。また,瞳孔径の測定に用いられるアイトラッカーは,参加者の身体的・精神的負担が少ない非侵襲的測定法と考えられている。
本年度は統合失調症患者(N=25)と健常成人(N=27)を対象にした実験を実施し,各種データの収集をおこなった。具体的には,神経心理学的検査として,各種認知機能を測定する課題に加え,統合失調症の症状評価を行う半構造化面接や,病前知能を推定する課題を実施した。さらに,推論課題を行なっている患者群・健康成人群の瞳孔径をアイトラッカーにより測定した。推論課題実施時の瞳孔径と,実験参加者の課題パフォーマンスの関係の分析から,健康成人では課題に対する予測の不確実性が瞳孔サイズと関連することが見出される一方,統合失調症患者ではそのような関連が見られないことが明らかになった。瞳孔径は覚醒システムを反映すると考えられているが,覚醒システムは内部モデルの予測性が低下したことを伝達する役割があるとされる。これをふまえると,患者群の課題パフォーマンスの低下は,覚醒システムの異常な働きによって,予測の不確実性のフィードバックが十分に伝達されない結果生じる可能性が示唆される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Asymmetric Complexity in a Pupil Control Model With Laterally Imbalanced Neural Activity in the Locus Coeruleus: A Potential Biomarker for Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder2022

    • 著者名/発表者名
      Kumano Hiraku、Nobukawa Sou、Shirama Aya、Takahashi Tetsuya、Takeda Toshinobu、Ohta Haruhisa、Kikuchi Mitsuru、Iwanami Akira、Kato Nobumasa、Toda Shigenobu
    • 雑誌名

      Neural Computation

      巻: 34 ページ: 2388~2407

    • DOI

      10.1162/neco_a_01545

    • 査読あり
  • [学会発表] Predictive inference and pupil-linked arousal systems in schizophrenia2022

    • 著者名/発表者名
      Shirama, A., & Sumiyoshi, T.
    • 学会等名
      NEURO 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 左右瞳孔径挙動に基づくADHDの判別の検討と数理モデルによる神経活動推定2022

    • 著者名/発表者名
      1)信川創, 熊野開, 白間綾, 髙橋哲也, 武田俊信, 太田晴久, 菊知充, 岩波明, 加藤進昌, 戸田重誠
    • 学会等名
      日本成人期発達障害臨床医学会

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公開日: 2023-12-25  

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