研究課題
基盤研究(C)
集合体恐怖症トライポフォビアとは、蓮の花托やフジツボなど、小さな穴や隆起物の集合体に対して名状しがたい不快や嫌悪を抱く状態を指す。本研究ではコモンマーモセットを対象に、非ヒト霊長類モデル作製とトライポフォビアの「怖いもの見たさ」立証を試みた。トライポフォビックなパターンを有する刺激に暴露されると、マーモセットの視覚的注意は有意に持続し、恐怖時の発声パターンも発現したが、明確な逃避行動は示さなかった。非ヒト霊長類でもヒトにおけるトライポフォビアに類する反応が惹起される可能性が示唆された。
霊長類獣医学
トライポフォビアに関する学術的研究は2013年に開始され、その発生機序については危険生物や病気・病原体に対する中核的嫌悪の関与が指摘されてきた。しかしながら、これまでヒト以外の動物での研究は実施されておらず、本研究によって初めて、動物でもトライポフォビアを示唆する反応が惹起されることが分かった。トライポフォビアの進化適応説を裏付ける結果につながるものと考えられる。