研究課題
2つ成果をあげることができた。1つめは柏原クリスタルを用いて、第2ロジャーズ・ラマヌジャン恒等式の証明を与えることができた。議論ではAriki-Kreiman-Tsuchiokaによる、アフィンA型基本クリスタルのテンソル積中での連結成分を特長付け(これ自体は、ヘッケ環の表現論の研究に由来している)が役割を果たす。この議論を別の型のアフィン・ディンキン図形に適用できるかどうかは今後の課題である。2つめは、頂点作用素によってA^{(1)}_{2}型レベル3の分割定理を見つけ・証明した。ロジャーズ・ラマヌジャン恒等式のLepowsky-Wilsonによるリー理論的な証明以来、任意のアフィン型と支配的整ウェイトについて、無限積が標準加群の主指標で与えられるようなロジャーズ・ラマヌジャン型恒等式の存在が期待されており、A^{(1)}_{2}型ではAndrews-Schilling-Warnaarの結果から、A2ロジャーズ・ラマヌジャン恒等式と呼ばれる恒等式が研究されてきた。最近では円柱分割との関係が詳しく研究されいるが、レベルが3の倍数の場合は研究が避けられており、その意味でもレベル3の結果は意味があると考えている。この結果を、より高レベルに拡張することや、一般のA^{(1)}_{r}型に拡張することは今後の課題である。
2: おおむね順調に進展している
整数の分割の研究は、対称群のスピン表現の研究成果に関連して開始したが、それ自体で当初予期しない進展があり、こちらにかなりのウェイトを割くことになってしまっている。
整数の分割に関連した頂点作用素の研究で、対称群の表現論に関連する結果が得られているので、その整理を急ぎたい。
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Proceedings of the American Mathematical Society
巻: 149 ページ: 2763~2776
10.1090/proc/15394
Proceedings of the Japan Academy, Series A, Mathematical Sciences
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