研究実績の概要 |
昨年度に続き, gl_1型の楕円量子トロイダル代数の構造の解明と表現の構成, 超対称ゲージ理論のインスタントン配位との関係について調べた. 代数の構造としては, Z-代数の構造を調べ, 一般の楕円量子群のときと同様に, 楕円変形を受けずに三角関数型の量子トロイダル代数と共通のZ-代数構造があることを示した. また, 新しい表現として, 楕円Ruijsenaars差分作用素を用いてレベル(0,0)表現をn変数ローラン多項式空間上に構成した. さらに, 繋絡頂点作用素の構成をtype IIでも行った. 超対称ゲージ理論との関連に関しては, 昨年得たJordan箙多様体型の変形W代数の生成母関数のtype I繋絡頂点作用素とそのshifted inverse を用いた実現を用いて, 期待値やトレースをとることにより, 複素平面上のn点ヒルベルト概形Hilb_nのヒルツェブルフχ_y-種数 (y=p)や楕円種数が導出できることを示した. Hilb_nの同変K-理論は4次元N=2* U(1)超対称ゲージ理論を5次元への持ち上げた理論のn-インスタントン モジュライ空間であり, そのχ_y-種数のnに関する和はインスタントン分配関数を与える. 一方, Hilb_nの同変楕円コホモロジーに付随する量である楕円種数のnに関する和はゲージ理論をさらに6次元に持ち上げたもののインスタントン分配関数を与える. また, 我々の実現により, Jordan箙型変形W代数の生成母関数の合成積の計算が容易になった. その結果, M個の合成に対しては, 頂点次元がnで枠次元がMのJordan箙多様体の同変K-理論のχ_y-種数や楕円種数が得られることを示した. これらのnに関する和はそれぞれ, 4次元N=2* U(M)超対称ゲージ理論を5次元や6次元へ持ち上げた理論のインスタントン分配関数を与える.
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今後の研究の推進方策 |
楕円量子トロイダル代数の定式化を一般のトロイダル代数の場合へと拡張する. 特に, gl_N型の場合に表現の構成や繋絡頂点作用素の構成を行い, 期待されるアフィン箙型変形W代数の定式化を行う. また, 対応する箙多様体のχ_y種数や楕円種数の導出の可能性についても調べる. また, 超対称ゲージ理論のインスタントン分配関数との対応についても明らかにしていく. 一方, 前年度の結果を利用して, 楕円q-KZ方程式と双対的になる量子差分方程式について調べ, 量子クーロン枝代数の表現や量子コホモロジーとの関係, 対応する楕円量子可積分系である楕円Ruijsenaars系との関係を楕円量子(トロイダル)群の表現の観点から明らかにしていく.
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