研究課題/領域番号 |
20K03512
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
雪江 明彦 京都大学, 理学研究科, 教授 (20312548)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 概均質ベクトル空間 / GIT / 密度定理 / 代数群 |
研究実績の概要 |
過去の論文でまだアクセプトされていなかったものが1本アクセプトされた。それは On the density of unnormalized Tamagawa numbers of orthogonal groups III で J. Number theory にアクセプトされた。結果は n が2以上の偶数のとき、Q が PSO(Q) という形の代数群の同型類を尽くすとする。vol(PSO(Q)_A/PSO(Q)_Q) を岩沢分解で定義された不変測度に関する体積とすると、Qの判別式が X 以下であるもののこの量の和は漸近的に X^{-(n+1)/2} の定数倍になるという主張である。また、その定数もオイラー積の表示を持つ。この結果は 1985 年の Goldfeld--Hoffstein の定理 (n=2) の場合を含み、1944年の Siegel の Z 上の結果に対しフィルター化を行い、Q 上の主張(そのほうが難しい)にしたものである。またもう1本長い論文がアクセプトされた。既に第1,2部は発表されているが、田嶋和明との共著論文で On the GIT stratification of prehomogeneous vector spaces III である。この論文の結果は G=GL(5)xGL(4), V=\wedge^2 k^5 \otimes k^4 のすべての軌道を標数が 2 でない任意の完全体 k 上有理的に決定したものである。この概均質ベクトル空間は 5 次体をパラメータ化する非常に興味深い例である。結果は generic point と 0 以外は 61 個の strata よりなり、ほとんどの strata は k 上1つの軌道で、他は2次体、3次体、PGL(2) の k-forms, SO(4) の inner forms になることが主張である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GIT stratification の論文は60,50,150ページの大作であり、まだ後1つの例が第4部として研究中であるが、ここまで順調にできてアクセプトされている。また、過去の結果ではあるが、諸事情でアクセプトされていなかった直交群の玉河数の密度に関する結果もアクセプトされたことは良かったと思う。この論文も50ページと結構な労力がかかっている。その他にも課題として研究すべきことは沢山あるのだが、それは今年度も継続して研究する予定であり、それなりの進歩が期待できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は GIT stratification IV を共著者と一緒に進めることが優先事項である。その他にも (1) 有理軌道の決定は、群が一般線形群でない場合に GIT stratifiction を決定する、(2) 3変数エルミート形式の対の空間の大域ゼータ関数の極の決定、連分数の概念の概均質ベクトル空間への拡張など、進歩が確実に期待できるものと、進歩が期待できるわけではないが、できた場合にインパクトが非常に大きいものなど沢山のレベルの問題があるので、そういったことを研究していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で旅費を使う機会がほとんどなかったため。
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