研究課題/領域番号 |
20K03517
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
内田 幸寛 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (90533258)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 矩形求積公式 / 直交多項式 |
研究実績の概要 |
昨年度までに引き続き、矩形求積公式(quadrature formula)に関連する不定方程式について共同研究を行った。矩形求積公式は、与えられた重み関数(あるいは測度)に関する多項式の積分値を、有限個のノードにおける多項式の値の一次結合で表す公式である。ノードが有理数になる矩形求積公式(有理矩形求積公式)が存在するかどうかという問題は、Waringの問題や球面デザインなどに応用があり、重要な問題である。Riesz-Shohatの定理により、有理矩形求積公式の存在は、重み関数に対応する直交多項式の性質に帰着される。これまでの研究で、直交多項式の性質を調べることにより、有理矩形求積公式の存在・非存在命題をいくつか証明している。この証明には様々な手法が用いられている。例えば、二つの直交多項式の和について、判別式をSchurの方法により明示的に計算することで、有理矩形求積公式の非存在命題が得られる。また、Christoffel-Darboux核が定める代数曲線を考えることで、有理矩形求積公式が存在するか調べることができる。さらに、二つの直交多項式の和についてのNewton多角形を調べることで、Hermite多項式、Legendre多項式、Laguerre多項式について非存在命題が得られる。今年度はそれらをまとめたサーベイ論文を共著で執筆し、掲載が決定した。また、有理矩形求積公式が存在するか分かっていない場合や、有理数体以外の代数体・他の直交多項式に対する拡張について引き続き研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、今年度も出張はあまり行えなかったが、オンラインでの学会・研究集会等で情報収集を行うことができた。また、有理矩形求積公式と直交多項式の関係に関するサーベイ論文の執筆が終了し、掲載が決定した。これらのことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って、有理矩形求積公式や代数曲線の有理点に関する問題などの研究を遂行する。新型コロナウイルス感染症の状況がより改善すれば、国内外の学会・研究集会等に参加し、研究発表・情報収集を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、学会・研究集会等への出張があまり行えなかったため、主に旅費について次年度使用額が生じた。状況が改善すれば、出張旅費に使用する計画である。また、数値実験のために計算機を購入する費用としても使用したい。
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