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2023 年度 実施状況報告書

新しい積分表示による広いクラスの多重ゼータ値の関係式

研究課題

研究課題/領域番号 20K03523
研究機関大阪工業大学

研究代表者

鎌野 健  大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 准教授 (50409611)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード多重ゼータ
研究実績の概要

通常の多重ゼータ値とlevel 2の多重ゼータ値をパラメータを用いて補間するようなゼータ値が考えられている.研究代表者は前年度(2022年度)において,多重対数関数で同様の補間を考え,通常の多重ベルヌーイ数とlevel 2の多重ベルヌーイ数の補間を導入した.この新たなベルヌーイ数はある多項式で表現でき,既存のものと似た漸化式を満たすことが確認できている.しかし,この研究で利用した多重対数関数はランデンの接続公式が綺麗な形で成り立たたず,これは十分な一般化がなされていないことが原因と考えられる.そこで本年度(2023年度)は接続公式が成り立つ背景を丁寧に見ることで,ランデンの接続公式をうまく拡張できるような多重対数関数の構成を試みた.その結果,一次分数変換を用いて拡張した多重対数関数を導入することで,この多重対数関数のランデンの接続公式に対応する関係式が証明できた.本結果は多くの関係式を含んでいるが,例えば通常の多重ゼータ値と多重ゼータスター値を補間するt多重ゼータ値の接続公式は本結果から直ちに得ることができる.この多重対数関数は,通常のものを広く一般化したものと考えられ,直接的ではないが実施を予定していた研究に付随するものである. またこの多重対数関数に対応する多重ベルヌーイ数も定義し,スター版の多重ベルヌーイ数が満たす双対関係式の一般化も得た.一次分数変換の係数をパラメータととらえることで,ランデンの接続公式や多重ベルヌーイ数の双対関係式が成り立つ背景がかなり解明できたことは大きな前進といえる.本研究結果は,論文にまとめ,現在専門雑誌に投稿中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度(2023年度)は一次分数変換を用いて多重対数関数を拡張したものを考え,そのランデンの接続公式の拡張を得た.この研究は,付随する新たな多重ベルヌーイ数について,双対関係式などの既存の関係式を拡張でき,興味深いものと考えている.ただし本来行う予定であった積分範囲が1次元でないような型の多重ゼータ値とは異なるものであるため,これについては今後研究を進めていくべきである.

今後の研究の推進方策

多重ゼータ値については,近年多重対数関数における積分表示の離散化など,これまで知られていなかった研究手法のバリエーションがどんどん増えてきている.本研究の一次分数変換を用いた多重対数関数の拡張は,ある程度素性のよいクラスの多重対数関数である.2024年度は,これに新たな研究手法を適用していくとともに,予定していた積分範囲が1次元的でない場合の多重ゼータ値に関しての研究に着手する.またこの研究で得られた関係式により,対応する多重ベルヌーイ数に対応する結果があると思われる.それを定式化し,まとめた結果の査読論文掲載を目指す.

次年度使用額が生じた理由

研究集会は対面開催が多くなったが,研究打合せ等はオンラインで行うことで旅費支出が少なくなった.まだ手をつけられていない研究方法もあることから,研究期間を延長するとともに,残金を次年度使用に回す.具体的には,旅費(研究集会参加の交通費,宿泊費),物品費(計算のためのPC購入,ノート等の文具購入)に使用する.

備考

今年度(2023年度)に論文を1本作成した.現在専門誌に投稿中である.

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公開日: 2024-12-25  

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