研究実績の概要 |
本研究の目的は、リー代数の観点に立脚した幾何学的不変式論の構築、及び、分子の配置問題などへの正標数の代数幾何学の応用である。本年度は、基礎理論の整備の一環として、標数が2の代数的閉体上の射影平面のフロベニウス・サンドイッチの特異点配置の、フロベニウス・サンドイッチに対応する1-フォリエーションの次数に関する分類に取り組んだ。成果として、1-フォリエーションの次数が1、0、-1の場合の分類に成功した。具体的には、次数が1のときは特異点の配置はA_1となり、次数が0のときは3A_1となり、次数が-1のときは7A_1、D_4^0+3A_1、D_6^0+A_1、D_7^0のいずれかになることが証明できた。本結果についてはタイトル「Configulations of singularities of quotients of the projective plane by 1-foliations of degree -1, 0, and 1 in characteristic 2」で論文を執筆中であり、2021年度の投稿を目指している。今後は、当初の目標であった、トーリック多様体の大域的F正則Fサンドイッチの分類の完成、及び、トーリック多様体の高次のフロベニウス・サンドイッチの構造の解明を目指し、その応用として空間上の配置問題への正標数の代数幾何学の応用を行いたい。また、SL(n,C)の有限部分群Gが多項式環Sに作用していとき、ねじれ群環S*Gが不変式環S^Gの非可換クレパント解消になることが知られているが、その結果を踏まえて、多項式環上の半単純な導分dについて、射影S[d]加群の圏と極大コーエン・マコーレーS^d加群の圏が圏同値にならないか考察を行った。この研究に関しては、証明の概略の検討が済み、今後は各ステップの詳細を埋め、証明を完成させたいと考えている。
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