研究課題/領域番号 |
20K03531
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
野間 淳 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (90262401)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 射影多様体 / 線形射影 / 射影埋め込み / 二重点因子 / 斉次イデアル / 定義方程式 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,射影多様体の点からの線形射影の構造について,理論的な考察と計算機代数の手法による計算により具体的な例を集めることで,何が一般の線形射影で何が特殊であるかについて,不変量などを用いて特徴づけることである.その一つとして,次のセグレローカスに注目する.点からの線形射影が射影多様体Xとその像との双有理写像を引き起こさないとき,射影の中心点を非双有理中心点またはセグレ点と呼び,その点がXの外にあるとき外セグレ点,Xの非特異点のとき内セグレ点と呼ぶ.ぞれぞれの全体集合を,外セグレローカス,内セグレローカスと呼ぶ. 今年度は,余次元2の場合の完全交叉多様体について,方程式を与えたときに,セグレローカスの定義方程式を求めるプログラムの作成を目標に研究を行った.特に,2つの2次超曲面の完全交叉の場合,外セグレローカスの個数がわかっているので,この場合に重点をおいた.その際に,射影多様体の一般の点からの線形射影が鍵となるが,射影多様体上の「一般の点」を複数点取る操作をどの様に表現して計算を実行するかということが研究課題となることが明らかになった.標数正と0の場合を含めて,次年度以降の課題となった.現時点では,この部分を,有限体上に定義されていることを仮定して,ランダムな点を取ることで一般の点を取ることを実現した.さらに,これまで得られていた線形射影で定義方程式を構成することを実現することで,セグレローカスの定義方程式を得ることができ,これによりセグレ点の個数が計算できた.これは理論的に得られる個数と一致していることが確かめられた.現時点では,プログラムとして完成させられてはいないが,幾つかの部分に分割して,条件を課したときに動作するプログラムを作成した.一般の場合の余次元2の完全交叉やその他の射影多様体の場合は,次年度以降の課題となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成に向けて幾つかの方向づけと成果が得られているため.予定していた研究打合せが,研究とそれ以外の業務に想定外の時間を必要としたため,また,感染症予防のため十分に行えなかった.
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今後の研究の推進方策 |
得られた計算方法をより一般の場合に適用できる様に改良するとともに,理論的な考察を行って,その他の方法も検討する.計算機代数プログラムによる計算が進めば,より一般の場合に対応するため,最新の計算機を導入して実例の計算を進める.これらの過程で得られると予想される知見を検証して結果としてまとめる.他方で,文献調査や考察による実例の構成を進める.これらの中間的な結果について,研究の情報交換や研究打ち合わせを行って,多角的な視点から研究を進める.研究打ち合わせ等は,状況が良くなれば直接行うことを予定しておくが,現時点ではオンラインの活用を探りながら可能な範囲で行う.研究対象として,線形射影の二重点因子にも着目して研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に予定していた図書の購入が進捗状況によりおくれているためで,これを進める.また,予定していた研究打ち合わせと情報交換を,感染症の予防のため先送りしたためで,状況により可能であれば進め,そうでなければ機器の導入を行なって,オンラインを用いた情報交換を行う.予定している計算機を導入して,実例の計算を進める.これらから得られる知見を,文献の調査や情報交換などをもとに考察や検証を行って,定理としてまとめる.これらのために,研究費を利用していく.
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