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2020 年度 実施状況報告書

完全圏・アーベル圏・三角圏を包括する統一的ホモロジー代数とその増強

研究課題

研究課題/領域番号 20K03532
研究機関名古屋大学

研究代表者

中岡 宏行  名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (90568677)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード完全圏 / 三角圏 / アーベル圏
研究実績の概要

本研究課題の目的としては、ホモロジー代数の重要な舞台であるアーベル圏・完全圏および三角圏を含む圏のクラスであるextriangulated categoryに対して、局所化や三角圏への埋め込み定理といった理論的枠組みの発展、ならびに∞圏等を用いた高次増強の模索などを挙げていた。今年度は共著で3編のプレプリントを作成し、プレプリントサーバーarXivに掲載を行った。(1) External triangulation of the homotopy category of exact quasi-category (2020年4月)では、完全∞-圏のホモトピー圏がextriangulated categoryの構造を持つことを示した。高次圏論的増強の方法が一つ確かめられたことになる。(2) Positive and negative extensions in extriangulated categories (2021年3月)では、extriangulated categoryの正高次extension、ならびに負高次extensionの一般論を与えた。(3) Localization of extriangulated categories (同じく2021年3月)では、extriangulated categoryの局所化を扱った。この局所化は、完全圏・アーベル圏・三角圏で知られている種々の局所化のうち、付随する加法関手が完全な場合の殆どを含む結果を与えている。
また、投稿中であった「extriangulated categoryの高次数版」としてn-完全圏・(n+2)-角圏を統一的に扱う枠組を論じた論文"n-exangulated categories"は前半部分が改訂ののち、Journal of Algebraから出版された。なお、後半については現在も査読中。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究実績の概要に記した3編のプレプリントのうち(1),(3)により、本研究課題のうち研究計画に記載のあった「extriangulated categoryの局所化」ならびに「完全∞-圏によるextriangulated categoryの増強」に関わる部分が概ね達成された。さらに、プレプリント(2)で与えた構成はextriangulated categoryにおける正および負の高次Ext関手の一般的取り扱いを可能とするものであり、今後、extriangulated categoryのさらなる理論的発展に関わる多くの部分に役立つと期待できる。また、(smallな)extriangulated categoryが自動的にこうした構造を持つという事実は、より一般的な概念の定義に繋がる可能性があると思われる。(1),(3)で研究計画どおりの結果が得られていることに加え、(2)で付加的な結果が得られているという点で、当初の計画以上に進展したと言える。一方で三角圏への埋め込みについては、任意のsmallなextriangulated categoryで可能であるか、あるいは反例を与えることが可能なのか、といったことを充分に解明するには至っていない。

今後の研究の推進方策

研究計画に挙げた事柄のうち三角圏への埋め込みについては、任意のsmallなextriangulated categoryで可能であるか、あるいは反例を与えることが可能なのか、といった方向から引き続き検討したい。∞-圏以外の高次圏論的概念による増強についても、その可能性を検討したい。また、研究実績の概要に記したプレプリント(2)の結果にはさらに発展の可能性がある。正および負の高次extensionを用いてどのような構成が可能かを調べ、その応用についても検討したい。また、任意のsmallなextriangulated categoryが自動的に正負の高次Extensionの構造を持つという事実は、extriangulated categoryあるいはn-exangulated categoryのより一般的あるいは概念的な定義に繋がる可能性があると考えている。アーベル圏・完全圏・三角圏を含み、さらに適用範囲の広い一般的概念となると期待できるので、この方向でも研究を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により当初予定していた研究集会・研究打ち合わせのための出張などが中止・延期となったことが、次年度使用額の生じた主な原因です。これら次年度への繰り越し分については、オンラインでの研究発表・研究打合せのために必要となる諸費用、ならびに、延期となった集会等が実施された場合の出張費などに使用予定です。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Uppsala University(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      Uppsala University
  • [国際共同研究] Southwest Jiaotong University(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      Southwest Jiaotong University
  • [雑誌論文] n-exangulated categories (I): Definitions and fundamental properties2021

    • 著者名/発表者名
      Martin Herschend, Yu Liu, Hiroyuki Nakaoka
    • 雑誌名

      Journal of Algebra

      巻: 570 ページ: 531-586

    • DOI

      10.1016/j.jalgebra.2020.11.017

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] External triangulation of the homotopy category of exact quasi-category2021

    • 著者名/発表者名
      中岡宏行
    • 学会等名
      日本数学会2021年度年会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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